複数の報道機関が報じたところでは、ロシアの多目的実験室モジュールである「ナクアモジュール」のバックアップ用ラジエーターから、後に冷却剤と特定されることになる「薄片」が出ていることを、管制官がライブストリームで目撃したという。
NASAのミッションコントロールは米国人宇宙飛行士にその薄片を見るよう依頼し、NASAのジャスミン・モグベリ宇宙飛行士がナクアのラジエーターから漏れがあると答えた。
ロシア連邦の宇宙企業であるロスコスモスは、テレグラムでの声明で、クルーとステーションにはこの冷却剤漏れによる危険はないと述べた。
これは、昨年12月にソユーズMS-22宇宙船が冷却剤漏れを起こし、2月には無人機のプログレスMS-21貨物宇宙船が冷却剤漏れを起こしたことに続く、1年足らずで3度目の冷却剤漏れだ。
昨年のロシアによるウクライナ侵攻で、米ロ間の緊張が高まっているにもかかわらず、NASAとロスコスモスはISSへのミッションで協力を続けている。しかし、予算削減と国際社会からの孤立の中で、この戦争はロシアの宇宙計画に悪影響を与えた。
冷戦時代の宇宙開発競争では、1961年4月12日に旧ソヴィエト連邦の宇宙飛行士ユーリ・ガガーリンが人類初の地球周回軌道に到達し、米国に先んじていた。ガガーリン以前にも、旧ソビエト連邦は1957年11月にスプートニク2号でライカという名の犬を地球周回軌道に初めて送っていた。ライカは軌道上で亡くなった。宇宙開発競争における初期の成功にもかかわらず、かつて優勢だったロシアの宇宙開発計画は、ロシア政府高官や請負業者による汚職や、冷却剤漏れのような事故による後退に直面している。8月には、1976年以来の月探査ミッションが月面に墜落し、破壊された。
宇宙アナリストのジョナサン・マクダウェルはAFP通信に対して「3度の冷却剤漏れが起きたわけですが、これらはつながっています。何であれ起きる、偶然でも起きる、システム的な何かでも起きるのです。これは、ロシアの宇宙システムの信頼性が低下していることを強調しています。これに8月の月探査機の失敗と合わせると、彼らの調子が良いとはいえませんね」と語っている。
(forbes.com 原文)