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2023.10.11

ChatGPTと生成AIについてビジネスリーダーが知るべき5つのこと

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今年の業界カンファレンスに出席した人なら、ChatGPTや生成AI、そして人工知能が議題の多くを占めていることを知っているだろう。しかし、ほとんどは「AIは変革的だ」とか「AIはゲームチェンジャーだ」といった、説教臭く空虚なものだ。

CEOや他の上級役員たちは、これらの新技術がどのような影響を与えるのかや、それらをどう進めるかについて、具体的な視点を求めている。そこで今回は、CEOがChatGPTと生成AIについて知っておくべき5つのことを紹介していきたい。

1.生成AIの目的はコスト削減ではない

生成AIツールとテクノロジー導入の初期の焦点は、生産性の向上、特にプロセスの加速にあるべきだ。人員削減の見積もりは、役割やポジションの種類によっても異なるが、20%から80%にも及ぶ。だが、生成AIで従業員を完全に(またはほぼ完全に)置き換えた企業の例はあるものの、それは稀で、結果も目を見張るようなものではなかった。

生成AIがビジネスに与える真のインパクトは、スタッフの置き換えではなく、人間の生産性と創造性を加速させることだ。マイクロソフトの金融サービス担当チーフデータサイエンティストのチャールズ・モリスは、「生成AIを自動化ツールとして考えるのではなく、副操縦士として考えてください。人間が仕事を行い、副操縦士がその仕事を速めるように手助けするのです」と語る。

マーケティング・キャンペーンの実施からウェブサイトの開発、新しいデータ・モデルを作成するコード開発まで、生成AIを使用するこれらのユースケースの利点は、コスト削減ではなく、市場投入までの時間を短縮することだ。

2.大規模言語モデルのリスクを確認する必要がある

ChatGPTは現在、最もよく知られている大規模言語モデル(LLM)かもしれないが、マイクロソフトのGorilla(ゴリラ)やメタ(旧フェイスブック)のLlama(ラマ)も力をつけて来ている。ほぼすべての主要テクノロジーベンダーがLLMを開発中か、最近発表している。

20年代の終わりまでには、業種やビジネスの規模にもよるが、10から100のLLMに頼ることになるだろう。そうした中、間違いないことが2つある。(1)テクノロジーベンダーは、自社の製品にジェネレーティブAI技術を組み込んでいると主張するが、実際にはそうではないことがあること、(2)テクノロジーベンダーは、自社のLLMの弱点や限界を(本当はあっても)教えてくれないことだ。

その結果、利用する企業は各モデルの長所、短所、リスクを自ら評価する必要がある。サウスステート銀行のキャピタルマーケット担当ディレクターのクリス・ニコルズは、次のように指摘する。

「企業が各モデルに適用すべき一定の基準があります。リスク管理部門はこれらのモデルを追跡調査し、精度、バイアスの可能性、セキュリティ、透明性、データプライバシー、監査手法・頻度、倫理的配慮(知的財産の侵害、ディープフェイクの作成など)について、評価する必要があるのです」。
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翻訳=酒匂寛

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