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一人の女性の人生を変えた 謎多きルワンダの「牛糞アート」とは

新コンセプトの白一色のイミゴンゴを手にする加藤さん 

「イミゴンゴ」と呼ばれる伝統的な牛糞アートに魅了され、アフリカ大陸東部のルワンダで調査活動を行っている日本人女性がいる。日本人唯一のイミゴンゴ専門家、加藤雅子さんだ。

牛糞とは、読んで字のごとく牛のウンチのこと。FAOによると、全世界で飼育されている牛は約15億3000万頭(うち乳牛約2億3300万頭)。1日一頭あたり、肉牛で17.8kg、乳牛で45.5kgの糞を排出するとされる。単純計算すると世界中で排泄される牛糞の年間総量は約3370万トンにのぼる。これは日本人男性(30~39歳の平均体重)約5億4000万人分に相当する膨大な量だ。

牛糞は古くから、堆肥や薪代わりの燃料、家の壁などに再利用されてきた。最近では糞尿に含まれるメタンをバイオガスに変える試みも行われている。しかしイミゴンゴのように、アートの材料として使用しているケースは非常に稀だ。

「イミゴンゴの魅力は、謎が底なし沼のようにどこまでも深いところです」

そう語る加藤さんは2019年、ルワンダの伝統文化や伝統医療の調査活動、ツアーガイドを行うCultural Capital Rwanda R&D ltd.を設立。イミゴンゴ発祥のニャルブイェ村で調査研究を行いつつ、オンラインショップでのイミゴンゴの販売や、展覧会、講演などを通してその魅力を広めている。

いつかアフリカに住みたい

イミゴンゴの作り方を学んだ加藤さんは、制作の助手もする

加藤さんの頭に“アフリカ移住”という言葉が初めて浮かんだのは、大学生の時だった。

貧困や紛争などのネガティブな情報を目にすることが多く、アフリカは自分とは縁遠いと感じていたが、スタディーツアーで訪れたケニアでリアルなアフリカに触れ、その考えは一変。「いつかアフリカに住んでみたい」と憧れを抱くようになったという。

大学卒業後は外資系ホテルに就職した加藤さんだったが、2017年にパートナーがルワンダに赴任することになり、同行。念願のアフリカ在住生活をスタートした。学生時代から一緒だというパートナーは、加藤さんの夢を叶えるためアフリカに関わる仕事に就いてくれたのだという。
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文=下村靖樹

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