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2023.10.12 11:00

インボイス制度今月から、宛名ナシはもうNG? 領収書の「ミシン目」に注意

laymul / Getty Images

インボイス


会食や街のお店等で受け取る手書きの領収書の場合は、こちらの原則的な「インボイス」になります。ただし、飲食店業や小売店は簡易インボイスの発行が可能ですので、どちらでも構いません。一般的なインボイスに記載が必要なのは、以下の項目になります。
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1. 個人の場合は、発行者の氏名又は名称、法人の場合は、法人名(会社名)
2. インボイス番号(「T」と13桁の番号:例T1234567890123)
3. 取引年月日
4. 取引内容
5. 税抜又は税込価格及び消費税率(10%か8%)
6. 消費税額
7. 受け取る方の個人の場合は、氏名又は名称、法人の場合は法人名(会社名)
(注)5.と6.については、軽減税率がある場合には、税率ごと(8%と10%別々に)の記載が必要です。

簡易インボイスとインボイスの違い


簡易インボイスとインボイスの違いは、以下の2点です。

〈簡易インボイス〉
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◯消費税の記載:税抜価格又は税込価格、消費税額又は消費税率
◯受け取り先:不要

〈インボイス〉

◯消費税の記載:税抜価格又は税込価格、消費税額、消費税率
◯受取先:必要

特に大きな違いは、受取人の氏名又は名称が必要になる点です。

ここで注意が必要です。まず、受取人の氏名又は名称が必要であるため、記載がなければインボイスの要件を満たしません。今までお店から「宛て名は?」と聞かれ、「とりあえずナシで!」と応えていた皆さんも多いでしょう。けど、これからは「ナシ」は本当に「ナシ」なのです。受取先はインボイスの要件の1つなので、記載がなければ、インボイスの要件を満たしたことにならず、上述のように消費税を負担しないといけない可能性があるのです。

国税庁「適格請求書等保存方式の概要」より引用

国税庁「適格請求書等保存方式の概要」より引用


実際に受け取ったインボイス(領収書)の判定


それでは、10月1日から現時点までで私が入手した領収書について、「インボイス」の要件を満たしているかどうかを確認してみたいと思います。

【事例(1)】インボイスOK




皆さんよくご存じの珈琲店のレシートです。簡易インボイスになります。さすが大手珈琲店、しっかり全ての要件を満たしていますので、仕入税額控除の処理が可能です。

【事例(2)】インボイスOK




こちらは、食事処で受け取った手書き領収書です。インボイスになります。手書きですが、全ての記載要件を満たした領収書になっていますので、仕入税額控除の処理が可能です。

【事例(3)】場合によってインボイスNG




こちらは大手ビジネスホテルチェーンの領収書になります。インボイスとするなら、消費税率の記載がないためNGとなります。

ただし、宿泊業は「不特定かつ多数」の相手をする事業になりますので、gのその他に含まれると考えられますので、簡易インボイスの発行が可能と思われます。その場合、消費税額の記載があればよいので、簡易インボイスの要件を満たすことになります。

しかし、この領収書は注意が必要です。わかりにくいのですが、この領収書は上部の「領収書」部分と下部の「請求明細書」部分が「ミシン目」となっていて、切り離すことができるようになっています。仮に従業員がこの領収書を切り離し会社に精算のために提出してしまうと、発行事業者の名称とインボイス番号、取引内容の記載のない領収書となってしまい、要件を満たさなくなってしまいます。提出時には注意が必要です。切り離してしまい、インボイスの要件を満たさない場合、私は800円×20%=160円を追加負担することになります。

【事例(4)】インボイスNG




こちらは、スーパーの領収書になります。小売業なので、簡易インボイスとして取り扱いができます。しかし、残念ながらインボイス番号の記載がありません。インボイス対応ができていないのでしょう。私は、217円×20%=43円の追加負担をすることとなります。
次ページ > 4つの領収書例を見て、まとめ

文=坂口勝啓 編集=石井節子

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