それでは、このような公共交通機関の経費や会食時の立替経費はその後どうしますか? もちろん会社に立替精算し、自身で負担することはないでしょう。
そして、会社に立替精算する時は「領収書の提出」が必要になります。そして今後、皆さんが提出した領収書が、インボイスの要件を満たさず、仕入税額控除の対象とならなければ、皆さんが勤めている会社は差し引くことができず、多くの消費税を納税しなければならなくなるのです。
ですので、何の意識もなく今まで通り受け取った領収書を提出したものの、インボイスの要件を満たしていなければ、立替精算を行う際に経理から注意を受けたり、場合によっては、消費税10%分(注)の精算が認められないなんてこともあるかもしれません。
これが、皆さんもインボイスが大いに関係すると言った理由なのです。この様な注意を受けないために、皆さんもこれからは私の様に注意して領収書やレシートを受け取らないといけないのです。
(注)実際には2023年10月1日から3年間は「仕入税額控除の2割特例」により、取引金額の2%の負担となっています。
インボイスのチェックポイント
それでは、具体的にチェックしなければならないポイントを確認しましょう。
その前に、インボイスには、「インボイス」と「簡易インボイス」の2種類があり、それぞれチェックするポイントが少し異なることに注意しましょう。以下それぞれ、解説したいと思います。
簡易インボイス
先に皆さんがよく入手することになると思われる「簡易インボイス」について、確認するべきポイントを確認します。簡易インボイスは、タクシーやスーパー等不特定かつ多数の方に対して事業をされている方が発行することができます。具体的には、a. 小売業、b. 飲食店業、c. 写真業、d. 旅行業、e. タクシー業、f. 駐車場業、g. その他、となっています。簡易インボイスに記載が必要なのは、以下の項目になります。
1. 個人の場合は、発行者の氏名又は名称、法人の場合は、法人名(会社名)
2. インボイス番号(「T」と13桁の番号:例 T1234567890123)
3. 取引年月日
4. 取引内容
5. 税抜又は税込価格
6. 消費税額又は消費税率(10%か8%)
(注)5. と6. については、軽減税率がある場合には、税率ごと(8%と10%別々に)の記載が必要です。
恐らく、受け取るレシートや領収書はレジやシステムからプリントアウトされるものが大半でしょうから、2. のインボイス番号が印字されていることを確認することで問題ないでしょう。
ただし、当たり前ですが、インボイスの登録をしていないとインボイス番号はありませんし、登録していてもレジやシステムが対応していないと同じくインボイス番号は印字されませんので注意が必要です。冒頭のように、会社が対応していないならまだしも、運転手が知っていなければどうにもなりませんので、私の様に乗車する前の確認が必要なのです。乗車した後、降車時に「対応していない」ことを告げられても、対応の方法がありません。