核融合と言えば、大型国際プロジェクトのITER(イーター)が有名だ。超高温のプラズマを磁場で閉じ込める継続的に核融合反応を起こさせる巨大なトカマク型核融合炉の開発を2007年から行っている。完成は2035年とされているが、日本、欧米、ロシアを含む7カ国による超大型プロジェクトには批判やトラブルも多く、現在は基本計画を再検討中だ。
それに対してEX-Fusionは、スタートアップという身軽さを活かし、商用核融合炉の開発を加速している。とくに、同社が開発するレーザー核融合方式は、小型で、今ある材料で構築できるため実用化が早いと期待されている。事実、アメリカのローレンス・リバーモア国立研究所は、2021年、レーザー核融合実験炉で世界初の「点火」を実現し、投入エネルギーを上回る出力を達成した。EX-Fusionでは2035年に商用炉を完成させるとしているので、もしかしたらITERを追い越すかもしれない。
EX-Fusionが子会社EX-Fusion Australia Pty Ltdを設立した南オーストラリア州アデレードは、オーストラリア宇宙庁の本部があり、宇宙産業や再生可能エネルギー産業などの高度技術の拠点として近年注目を集めている。EX-Fusionはそこで、宇宙でのレーザーコミュニケーション、レーザーを使った宇宙デブリの除去など、同社の高度なレーザー技術の応用分野に注力するということだ。
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