宇宙

2023.10.15 10:15

惑星形成の謎を握る「のっぺりとした円盤」を発見

プレスリリースより

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太陽系などの惑星系は、誕生したばかりの恒星の周囲を円盤状に回転する星間ダスト(宇宙のチリやガス)が引力で集まり惑星が形成されるという話は、誰でも聞いたことがあるだろう。その過程を示す成長途中の恒星系はこれまでにいくつか発見されているのだが、惑星形成がどのように始まるのかは不明だった。その鍵を握るのが、惑星形成の痕跡がまだない「のっぺりとした円盤」。それがようやく見つかり、惑星形成の知られざる一面が発見された。

「のっぺりとした円盤」は、原始星「おうし座DC星」のまわりの原始惑星系円盤。以前から知られていた星だが、これを茨城大学、東京電機大学、東京工業大学などが参加する国立天文台の国際研究チームがチリの「アルマ望遠鏡」で詳しく調べたところ、惑星形成前の状態であることがわかった。
波長を3段階に変えたおうし座DG星円盤の電波の偏光強度マップ(上)と、その結果にもっとも近い観測シミュレーション(下)。

波長を3段階に変えたおうし座DG星円盤の電波の偏光強度マップ(上)と、その結果にもっとも近い観測シミュレーション(下)。


その星間ダストの状態を調べると、ダストのサイズは円盤の外側(太陽系の海王星よりも少し遠いところ)ほど大きく、惑星成長の過程が進んでいることがわかった。これまで、円盤の内側ほど惑星形成が早いとされていたのだが、実際はその逆だった。また内側は、ガスに対するダストの密度が通常の星間空間の10倍と高く、惑星の材料を「溜め込んでいる段階」であることもわかった。これを引き金にして惑星形成が始まると考えられるとのことだ。こうした惑星形成の初期状態を明らかにした点で「非常に重要な成果」だと国立天文台の大橋聡史特任助教は話している。

アルマ望遠鏡は、日本が主導し22カ国が参加する国際プロジェクトでチリの標高5000メートルの平原に建設された電波望遠鏡。口径12メートルと7メートルのパラボラアンテナを66台組み合わせたもので、その範囲は最大で16キロメートル。実質的に山手線の直径に匹敵する超巨大アンテナということだ。その「視力」は6000。130億光年離れた天体を観測でき、さらに星間物質の成分もわかるので、アミノ酸を発見できれば地球外生命の存在も明らかになると期待されている。

プレスリリース

文 = 金井哲夫

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