ロイターが10月3日に報じたところによると、中国は、長年ウェブサイトやゲームを規制してきたのと同じ仕組みで、すべてのアプリを規制することを決定した。中国で利用可能なすべてのウェブサイトは長年「インターネット・コンテンツ・プロバイダー(ICP)」申請番号を申請し、取得する必要があった。2020年、中国はゲームアプリにライセンスの申請と取得を義務づけを始め、App Storeの大規模な粛清につながった。
現在では、これと同じ基準がすべてのアプリに適用されるようになったとロイターは報じている。
中国政府がアップルに圧力をかけているという噂が報じられた後、同社はアプリのパブリッシャーに対し、中国で配信するアプリの追加情報を要求し始めた。アップルの開発者向け文書によると、この基準はアプリの種類に応じて次のように定められている。
・すべてのアプリに、有効なICP申請番号の保有が求められる
・ゲームアプリは、承認番号を取得する必要がある
・書籍および雑誌アプリは、国家新聞出版署(NPPA)からインターネット出版許可を取得する必要がある
・宗教アプリは、国家宗教事務管理局(NRAA)からインターネット宗教情報許可を取得する必要がある
・ニュースアプリは、中国サイバースペース管理局(CAC)からインターネットニュース情報許可証を取得する必要がある
アップルはこれまで中国のApp Storeでゆるやかなポリシーをとり、多様なアプリを公開してきた。しかし、中国政府はその後、アップルに未登録の海外アプリを禁止するよう命じたため、すべてのアプリが抜け道を失いつつある。
この動きの背景には、アップルに対する中国政府からのさらなる圧力がある。中国の当局は9月に、官公庁でのiPhoneの使用を禁止し、その後は禁止措置を政府系機関や国営企業に拡大した。その結果、アップルは約2000億ドル(約29兆6000億円)の時価総額を失った。
ここで気になるのは、アップルがこの規則を新たに公開されるアプリのみに適用するのか、それとも過去に遡って現在利用可能なすべてのアプリに適用するのかという点だ。
もし前者の仕組みをとるのであれば、中国向けのApp Storeのアプリは、アップデートされないまま古くなり、徐々にアプリがなくなっていくことになる。一方、後者の仕組みをとるのであれば、中国で利用可能だった何十万本ものアプリが、もっと短い期間で削除される可能性がある。
ここで生じるさらに大きな疑問は、中国政府が自国のデジタル空間へのアクセスを制限している一方で、米国などの国々はなぜ、中国のアプリ開発者がグローバル市場で何十億ドルも稼ぐことを許しているのかというものだ。政府系メディアのチャイナデイリー(中国日報)によると昨年、中国のアプリ開発者は「全世界トップ52のパブリッシャー」のランキングで米国を追い抜き、上位を独占していた。
これらの上位の開発者には、TikTokの親会社のバイトダンスをはじめ、アリババやバイドゥ、テンセントらが含まれている。
(forbes.com 原文)