人間のような捕食者との遭遇は、野生動物の生活に著しい影響を与えうるとAnnual Review of Ecology, Evolution, and Systematics誌に掲載された研究は報告している。野生の鳥や哺乳類が捕食者の音を一定時間以上聞いている環境では、個体数が著しく減少。採餌などの行動も影響を受け、PTSDの発症率が上昇する可能性がある。
人間という捕食者の脅威がもたらす生態への影響は、アフリカにおいては特に、観光に依存した自然保護に問題を生み出すとCurrent Biologyの論文の中で研究チームは指摘している。2017年のBiological Conservationの研究が対象としたアフリカのライオン保護地域186カ所のうち、ライオンの捕食対象の50%以上を養うことができているのは半数以下であり、推定される環境収容力の50%を超えるライオンを保護できている地域は、3分の1以下だった。研究チームはこの原因を、保護地域内に住む人々、周辺地域の人口と家畜の密度、保護地域の広さ、さらに国の経済状態によるものだとしている。
国際自然保護連合のレッドリストに記載されている絶滅危惧種の数は15万300種にもおよぶ。絶滅の脅威に晒されている4万2100種のうち、哺乳類が27%を占めている。
研究チームは、特別な音響システムを使って、ミナミシロサイを南アフリカで密猟が確認されている場所から、安全な外部の場所へと誘導することを検討している。すでに録音された人間の声を使い、一定地域にサイを近づけない方法が実施されているが、これまでのところ成功しているという。
(forbes.com 原文)