CEOや他の上級役員たちは、これらの新技術がどのような影響を与えるのかや、それらをどう進めるかについて、具体的な視点を求めている。そこで今回は、CEOがChatGPTと生成AIについて知っておくべき5つのことを紹介していきたい。
1. 生成AIの目的はコスト削減ではない
生成AIツールとテクノロジー導入の初期の焦点は、生産性の向上、特にプロセスの加速にあるべきだ。人員削減の見積もりは、役割やポジションの種類によっても異なるが、20%から80%にも及ぶ。だが、生成AIで従業員を完全に(またはほぼ完全に)置き換えた企業の例はあるものの、それは稀で、結果も目を見張るようなものではなかった。生成AIがビジネスに与える真のインパクトは、スタッフの置き換えではなく、人間の生産性と創造性を加速させることだ。マイクロソフトの金融サービス担当チーフデータサイエンティストのチャールズ・モリスは、「生成AIを自動化ツールとして考えるのではなく、副操縦士として考えてください。人間が仕事を行い、副操縦士がその仕事を速めるように手助けするのです」と語る。
マーケティング・キャンペーンの実施からウェブサイトの開発、新しいデータ・モデルを作成するコード開発まで、生成AIを使用するこれらのユースケースの利点は、コスト削減ではなく、市場投入までの時間を短縮することだ。
2. 大規模言語モデルのリスクを確認する必要がある
ChatGPTは現在、最もよく知られている大規模言語モデル(LLM)かもしれないが、マイクロソフトのGorilla(ゴリラ)やメタ(旧フェイスブック)のLlama(ラマ)も力をつけて来ている。ほぼすべての主要テクノロジーベンダーがLLMを開発中か、最近発表している。20年代の終わりまでには、業種やビジネスの規模にもよるが、10から100のLLMに頼ることになるだろう。そうした中、間違いないことが2つある。(1)テクノロジーベンダーは、自社の製品にジェネレーティブAI技術を組み込んでいると主張するが、実際にはそうではないことがあること、(2)テクノロジーベンダーは、自社のLLMの弱点や限界を(本当はあっても)教えてくれないことだ。
その結果、利用する企業は各モデルの長所、短所、リスクを自ら評価する必要がある。サウスステート銀行のキャピタルマーケット担当ディレクターのクリス・ニコルズは、次のように指摘する。