北米

2023.10.11 09:30

米国製兵器への外国からの需要が急増、バイデン政権は販売促進に動く

取引の形態にかかわらず、すべての主要な武器輸出は国務省の審査対象となり、議会を通さなければならない。武器を売却するのに議会の承認を得る必要はないが、議会が取引を阻止する動きを見せれば、売却はできなくなる。

米国務省の政治軍事局は、提案された取引が国家安全保障戦略や技術輸出規則に則し、その他の要件を満たしているかの判断を任されている。FMSの場合、販売が承認されると、案件は実行のために国防総省に送られる。

政治軍事局は提案された取引の95%を数日以内に承認する。だが、残りの5%には疑問の余地があり、国務省が承認した後でも解決しなければならない複雑な問題がある。

例えば、人員が不足している国防総省の契約事務局では、契約の最終決定に時間がかかることがある。武器を受領する側の国は武器製造に関与したいかもしれないが、そのためには適切な現地の供給源を確保する必要がある。米国の武器生産能力が後退することも考えられる。また、米国の資金が購入に使われるFMSの場合、承認された取引に議会が資金を割り当てない可能性もある。

そのため、緊急かつ国益にかなう武器売却であっても、完成品の納入が始まるまでに何年もかかる可能性があることは想像に難くない。これにより、韓国のハンファのような米企業と競合する外国企業にチャンスが回る。

国務省と国防総省は昨年、FMSの実行に要する時間をいかに短縮するかについて、並行して調査を開始した。現在行われている取り組みの中には、外国の見込み客との取引に携わる現場担当者へのトレーニングの提供が含まれている。

国防総省は、FMSプロジェクトを実施する上で継続的なプロセス改善のための環境を構築しようとしており、産業界への要求に同盟国の要件を取り入れることを検討している。

後者の取り組みは、米国製の兵器に対する需要の急増によって生じた課題に対する、より広範な対応の一環だ。米国内の産業は求められる兵器のすべてを生産する能力はあるが、迅速に生産する能力はないかもしれない。国防総省の調達責任者は、生産する米企業のバックアップとして機能するかもしれない外国の企業の使用を検討している。

提案された改善策をすべて実行に移すには時間がかかるだろうが、明白なことが1点ある。多くの民主党議員が反射的に外国への武器売却に反対していた時代はとうの昔に終わったということだ。同盟国やパートナーが武器を求めているのであれば、バイデン政権は武器生産で中国の労働者ではなく米国の労働者のための雇用創出を望んでいる。

forbes.com 原文

翻訳=溝口慈子

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