同様の事件の多くはプーチン大統領に対する公然とした批判や非難の後で起きているが、同大統領が批判者たちの死の責任を取ったことはない。
野党の元党首でプーチン大統領を激しく批判していたアレクセイ・ナワリヌイは2020年、ロシア政府が開発した神経剤ノビチョクによる毒殺未遂に遭った。この事件について、当時のアンゲラ・メルケル独首相は、ナワリヌイを「黙らせる」ための攻撃だと非難した。
ロシアの二重スパイだったセルゲイ・スクリパリも2018年、ノビチョクで攻撃された4人のうちの1人となった。ロシア当局はこの事件の責任を取らなかったが、当時のテリーザ・メイ英首相は、この攻撃は「ロシア国家の上層部で」承認された可能性が高い暗殺未遂だったと指摘した。
ロシアの元スパイでプーチン批判者のアレクサンドル・リトビネンコは2006年、英ロンドンで放射性金属のポロニウムによって毒殺された。英国の公的な取り調べでは、プーチン大統領自身がリトビネンコの殺害を承認していた可能性が高いことが判明した。
ロシア軍に対する人権訴訟でチェチェン市民の代理人を務めていた人権派弁護士のスタニスラフ・マルケロフと、プーチン大統領に批判的な記事を書いていた記者のアナスタシア・バブロワは2009年、ロシア大統領府(クレムリン)近郊で射殺された。
プリゴジンが6月にワグネルの傭兵を率いてモスクワに進軍する短期間の武装反乱を起こしたことを受け、米国土安全保障諮問評議会(HSAC)のドミトリー・アルペロビッチは米CNNに対し「プーチンは何よりも忠誠心を重んじる」と語った。「プーチンの下では盗みを働くことも、殺人を犯すことも、犯罪者になることもできる。だが、不誠実であることだけは許されない」