起業家

2023.10.08 08:30

ソフトバンクも出資するイスラエルの「セキュリティ業界の大物」

Shlomo Kramer(C)Cato Networks

2つのサイバーセキュリティ企業を上場させてビリオネアとなったイスラエル人起業家シュロモ・クレイマー(Shlomo Kramer)は、3社目のIPOに向けて準備を進めている。

テルアビブに本拠を置くCato Networks(ケイトネットワークス)は9月19日、2億3800万ドル(約354億円)を調達したと発表した。このラウンドは、同社の2021年のシリーズFラウンドを主導したライトスピード・ベンチャー・パートナーズの主導によるものだ。Cato Networksの評価額は、前回ラウンドの25億ドルから31億ドルに拡大した。

Cato Networksは、新たに調達した資金で売上拡大と製品開発の強化を図り、来年のIPOを目指している。同社は、競争の激しいセキュア・アクセス・サービス・エッジ(SASE)市場でシスコやパロアルトネットワークス、VMWareなどの大手と競合している。

SASEは、ネットワークから従業員が使用するコンピュータやモバイル機器までを監視することで、サイバー攻撃から企業を守っている。ガートナーは、インフラ分野における今年のトップトレンドの1つにSASEを挙げており、市場規模は約40%成長して90億ドルを突破すると予測している。

Cato Networksは、長年に渡って自社がSASEのパイオニアであると主張してきた。同社のクラウド・ソフトウェア・スタックには、従業員のオンラインアクセスやウェブラフィックを保護したり、ファイアウォールプロテクションをサービスとして提供するツールが含まれている。

「市場規模が巨大であるため、我々は成長を最優先に考えている」とクレイマーは話す。彼は、Cato Networksがいる市場の総規模が200億ドルに達すると考えている。

Cato Networksと同じくイスラエルのセキュリティスタートアップであるWizの評価額は、100億ドルに達した。また、クレイマーが以前立ち上げたCheck Point Softwareの時価総額は約160億ドルだ。これらの企業に比べると、Cato Networksの評価額はまだ小さいと言える。

Cato Networksが9月に発表した2億3800万ドルのラウンドには、Adams Street Partners、Singtel Innov8、Sixty Degree Capitalのほか、ソフトバンク・ビジョン・ファンド2が参加した(過去のラウンドには、CoatueやGreylock、Acrew Capitalが参加している)。
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編集=上田裕資

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