サービス

2023.10.09 11:00

楽天モバイルも採用する「衛星ブロードバンド」企業ASTの実力

「これからは、シームレスなコネクティビティを実現することができる。携帯電話の通話エリアであれば、これまでどおり基地局を利用することになるが、圏外では衛星を利用することになる」と、通信機器大手Ciena(シエナ)のシニアディレクターであるブライアン・ラヴァレーはいう。

しかし、ユビキタスな接続性を実現するには課題もある。これらの衛星は、標準的なセルラー無線からの通信を可能にするため、LEO(地球低軌道)を周回するが、高度が地表から数百キロしかなく、カバーできる面積は制限される。より高い高度を周回するGEO(対地同期軌道)衛星であれば、もっと広い範囲をカバーできる。

「高度3万6000kmを周回するGEO衛星はサイズが非常に大きい。地球に近づくにつれて衛星は小さくなるが、カバーできる範囲が狭くなるため、より多くの衛星が必要になる」とラヴァレーは話す。

スターリンクとの競争

ASTが彼らのビジョンを実現するまでには、長い時間を要すると思われる。また、動画やファイルのダウンロードなど帯域幅が広いアプリケーションを利用する場合、1基の衛星が何人の顧客をサポートできるか不透明だ。さらに、同社はスペースXとスターリンクとの厳しい競争に晒される。スターリンクは事業展開が先行しているだけでなく、自社で衛星を打ち上げるためにコスト面でも有利だ。スターリンクは専用の衛星接続ハードウェアを使用した場合に、約100Mbpsの通信速度を実現している。

一方、ASTは宇宙ベースの通信を可能にする2600件以上の特許を保有しているという。同社は、ボーダフォンや楽天モバイル、ベル・カナダ、AT&T、オレンジなど40社を超えるモバイルネットワーク事業者と契約しており、総加入者数は24億人に達する。同社の取組みが成功すれば「圏外」は過去のものになるかもしれない。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事