海外

2023.10.06

マレーシアの中古車販売ユニコーン「Carsome」 24年に黒字化へ

エリック・チェン(C)CARSOME

中古車売買サイトを運営するマレーシアの企業Carsome(カーサム)は2021年の資金調達ブームの中で、同国初のテック系ユニコーンに浮上したが、景気後退が懸念される今、収益性の向上に注力している。

同社の共同創業者で最高経営責任者(CEO)のエリック・チェンは、先日シンガポールで開催されたフォーブス・グローバルCEOカンファレンスの会場で「年末までに損益分岐点に到達し、2024年は通期で黒字を達成する見通しだ」と語った。

カーサムは、中古車の卸売事業に加えて、一般ユーザー向けの中古車販売や自動車ローン、保険、アフターサービスなどを収益源としている。同社の2022年の売上高は15億ドル(約2200億円)で、その35%が小売事業だった。チェンによると、小売事業の取引マージン(営業コストを差し引いた後の取引利益)は約13%と高く、中核の卸売事業の2倍に達している。

マレーシア、インドネシア、タイ、シンガポール、そして最近ではフィリピンで事業を展開するカーサムは昨年15万台以上の車両を販売し、売上高と取引高で地域最大の中古車売買サイトとなったと主張している。

同社が直接競合するのが、ソフトバンクのビジョン・ファンド2が支援するCarro(カーロ)で、シンガポール、マレーシア、インドネシア、タイ、そして最近では日本で事業を展開している。「東南アジアで最も収益性の高い中古車マーケットプレイス」であると主張するカーロの3月までの1年間の売上高は8億ドルを超え、12万台以上を販売したという。

チェンは、カーサムの収益性を向上させる一方で、市場シェアの拡大が後回しにならないようにしている。同社は6月、シンガポールの政府系投資会社テマセクの子会社の65 Equity Partnersやカタール投資庁、香港とクアラルンプールを拠点とするゴビパートナーズなどの投資家から非公開の資金を調達した。

昨年1月のシリーズEラウンドでは2億9000万ドルを調達しており、チェンによるとカーサムの評価額は17億ドルに達しているという。

「当社は来年も成長トレンドを維持し続け、市場シェアを3%から5%程度に拡大し、その次の年には10%を目標としている。ただし、収益性を重視しつつさまざまな機会を探っていきたい」とチェンは語った。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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