米中央軍によると、引き渡されたのは小火器用の7.62mm弾。国連安保理決議に違反して、イランのイスラム革命防衛隊からイエメンの反政府武装組織フーシへ無国籍船で移送されていたのを米海軍が押収していた。
米司法省は7月、ほかにライフル銃9000丁以上、機関銃284丁、ロケットランチャー194基前後、対戦車誘導ミサイル70発以上、弾薬70万発以上を押収したことを明らかにしている。CNNなどは、これらの兵器もウクライナに譲渡されると報じている。
ロシアによるウクライナ全面侵攻後、イランはドローン(無人機)をはじめとする武器をロシアに提供してきた。
米シンクタンク、新アメリカ安全保障センター(CNAS)のシニアフェロー、ジョナサン・ロードはCNNのインタビューで「ロシア軍は1年以上にわたって、イランから入手した無人機を使ってウクライナの市民を攻撃し、殺害してきた」と指摘。ウクライナが今回、ロシアの侵略や虐待という犯罪から国民を守るために、イランから押収された武器を用いることになったのは「因果応報」だと語っている。
ウクライナ支援にほころびの懸念
ウクライナにとって最大の支援国である米国では、ウクライナへの支援資金をめぐってジョー・バイデン政権と野党・共和党の対立が抜き差しならないものになっている。バイデンはウクライナへの支援のため240億ドル(約3兆6000億円)の追加予算を要求しているが、共和党議員の多くは多すぎるとして反対し、政府閉鎖の可能性をちらつかせながら政府支出の削減要求を突きつけている。ウクライナの隣国で、これまで同国を最も強く支援してきた国のひとつであるポーランドでも先月末、両国間の通商摩擦が激しくなり極右の野党勢力からの突き上げも強まるなか、政府がウクライナへの武器供与の停止を表明した。
ポーランド当局はこれに先立ち、国内の農家を守る目的でウクライナ産穀物の輸入を禁止した。今月15日に行われる総選挙で議席増をめざす極右政党「連盟(コンフェデラツィア)」は、ポーランド側がこれまで行ってきた武器供与や難民受け入れといった支援に対して、ウクライナ側から十分な感謝が示されていないと不満を募らせている。
(forbes.com 原文)