経営者が座右の書とする漫画作品を紹介する連載「社長の偏愛漫画」。自身の人生観や経営哲学に影響を与えた漫画について、第一線で活躍するビジネスリーダーたちが熱く語ります。
第16回目は、ログラスの布川友也が登場します。聞き手を務めるのは、漫画を愛してやまないTSUTAYAの名物企画人、栗俣力也。
栗俣力也(以下、栗俣):『金色のガッシュ!!』を選んだ理由はなんでしょうか。
布川友也(以下、布川):私がまだ小学生ぐらいのときの漫画で(2001~08年連載)、全巻買って揃えて読んでいました。2022年からは『金色のガッシュ!!2』が連載され始め、さらに先の展開まで読めるということで、自分の中でもホットだったので選びました。
私はいま、従業員やお客様といったパートナーたちと力を合わせて、関係を築きながら結果を出そうと経営に取り組んでいます。まさに魔物の子どもと人間がパートナーを組んで、足りないところを補い合いながら成長して結果を出すプロセスが共通しているなと思っています。
栗俣:あまりビジネスっぽくない漫画で驚きました。一番心に残っているシーンとして挙げていただいたのがウォンレイのバトルの1シーンです。
布川:読み切ったうえでここは特に印象に残っています。ここで戦っている相手の人間のキャラは作中でもかなり強い設定だと思うんですが、いわゆる利他な信念のようなものが全くないんです。それに対して魔物の得意技である術を使わずに、「道楽で戦ってるあなたとは、戦いに対する覚悟が違う」と言うのはめちゃくちゃカッコいいなと思いました。ビジネスの世界でも、「ビジネスはお金稼ぎの手段だ」と思ってやっている人と「世界を変えるために命を削ってやっている」という人では、かなり覚悟のレベルの違いがあると思っています。
大きい会社を経営している人で「お金を稼ぎたくてやっている」という人って1人もいないんですよね。最初はお金稼ぎからスタートした人もいるかも知れませんが、巨大企業になるまでやりきれる人はお金のためには戦っていない。『ガッシュ!!』の作中でも、道楽で戦っている、自分が成果を出したくてやっている側と、理念があって戦っているる側に大きく違いがある。ガッシュだったら「優しい王様になりたい」とか、ウォンレイだったら「守る王になりたい」といったミッションがあって、それに対して感情的な充足感を得ながら戦いを挑んでいく様子が描かれています。
栗俣:たしかに『ガッシュ!!』では魔物全員が「こういう王になる」という目的がちゃんとあって、それを全力でサポートするパートナーがいる。この関係が、言われてみればビジネス感が強いですね。ウォンレイとリィエンは特に恋愛的な絆もあり、2人の思い合う気持ちがとても強かった。