不動産会社の恒大集団は、2023年1〜6月期の決算では(8月27日に発表)、最終損益が330億元(約6600億円)の赤字となった。6月末時点の債務超過額は6442億元(約13兆円)に膨らんだ。1兆860億元(約22兆円)にのぼる開発用不動産は、売れていない住宅の在庫が滞留する不動産業界の停滞のなかで、まさに不良資産と化している。ニューヨークでドル建て債の債務不履行に陥った後、8月には、米連邦破産法15条による破産を申請した。
さらに、地方都市の住宅開発大手(最近数年は国内の売上高ランキング1位)の碧桂園も2023年1〜6月期の決算で、489億元(約9800億円)の赤字を計上、8月にはドル建て社債の利払いができなかった。また、元建て社債の返済期限の延長を求めるなど手元流動性の枯渇が明らかである。
中国は、今年の成長率の見通しを5%前後としている。民間の予測に比べると低めであり、目標未達を心配して低めに出したのかもしれない。中国で毎年発表される成長目標は、2005年から2011年までは8%していたが、実績値はそれをはるかに上回り、10%を上回る水準で推移していた。それに比べると成長率はおおよそ10年で半減したことになる。10%を超える高度成長のあとに、成長率が緩やかに低下するところも似ている。
日本では、1950〜1960年代の高度成長(10%成長)のあと、1970年代半ばから1980年代末まで、5%成長を達成していた。そして、1980年代後半のバブルが、1990年代初めに破裂すると、成長率は1%台に急低下した。中国でも同様のことが起ころうとしているのかもしれない。
中国の消費者物価指数は、7月に前年同月比マイナス0.3%と「デフレ」に突入した。欧米が高インフレへの対応に苦労しているのとは対照的だ。