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2023.10.04 14:30

詐欺被害を事業機会に、不正検知ソフトを開発

Forbes JAPAN編集部

Tamas Kadar|SEON Technologies 共同創業者

「大学時代、友人と始めた暗号通貨取引所でカード決済を導入した際、不正な決済が多発し多額の損失を被りました。しかしこれを解決するソリューションはすべて大企業向けだったので、自社でソリューションを構築したのです」。

こう語るタマシュ・カダール(29)。近年横行するオンライン詐欺や不正行為はオンライン上の経済活動における悩みの種だ。カダールがCEOを務めるSEON Technologiesは、銀行やEC、ゲーム等様々なプラットフォームの偽アカウントを排除する不正の統合管理サービスを展開、この問題に立ち向かっている。「現代、オンラインでのサービス提供は避けては通れない。盗んだクレジットカード情報を悪用したり、他人の名前でサイトに登録したりするあらゆる詐欺の悩みから企業を解放したいのです」。

不正被害をきっかけに構築したSEONのソフトウェアはSNSやIPアドレスの動向から膨大なデータを収集し疑わしいアカウントや行為を抽出。初期費用不要で、無料プランもあり、小さな個人店舗でも活用が可能だ。オンライン詐欺・不正に関する知識や資料も公開する。効率性や使いやすさが評判となりこの2年で会社の収益・顧客規模はともに3倍以上に伸び、現在は業界・業種を問わず5000社以上の顧客をもつ。

「オンラインビジネスが直面する不正管理の手間を減らし、企業が成長と拡大に集中できるようにサポートすることが私たちの役目。不正検知の解決策として第一の選択肢でありたい」。


タマシュ・カダール◎ SEONTechnologies共同創業者。コルヴィヌス大学ブダペスト校卒業。在学中、暗号通貨取引所立ち上げののちピボット、2017年にベンス・イェンドルシャクとSEON Technologiesを共同創業。ヨーロッパ版「Forbes 30 Under 30 2023」に選出。

文=フォーブス ジャパン編集部 写真=ゲリン・ブラスク

この記事は 「Forbes JAPAN 2023年10月号」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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