高性能な大型の通信衛星を打ち上げるかわりに、小さな通信衛星をたくさん打ち上げて地上をくまなくカバーしようという考え方は、日本でもKDDIがサービスを提供しているSpaceXのStarlinkが実現している。何千基もの小型通信衛星を低軌道上に飛ばして高速インターネット回線を空から提供する「コンステレーション」という方式だが、使用される衛星は長さ1メートル程度と大きい。第二世代となる「Gen2 System」は乗用車ほどの大きさだ。それだけのものを大量に打ち上げる能力があればこそだが、残念ながら日本にはそれがない。
ならば、既存のコンステレーションと、日本のお家芸でもある超超小型衛星による巨大アンテナを組み合わせて「通信衛星3.0」の実用化を進めようというわけだ。インターステラテクノロジズが計画している超超小型衛星は「ピンポン玉サイズ」。これなら、小さなロケットで数多く打ち上げることができて経済的だ。小さな衛星を網目状に大きく展開して構成されるアンテナは、大型衛星の能力を上回るうえに、小さな衛星の集まりなので、そのなかのいくつかが壊れたとしても全体的な機能が保たれる堅牢性に優れる。
国立研究開発法人の情報通信研究機構(NICT)は衛星通信の知見を豊富に持っている。インターステラテクノロジズは、バイオ燃料を使用する小型で環境負荷が小さく経済的なロケットの開発を進めるかたわら、この8月に人工衛星を開発製造するOur Starsを吸収合併し、ロケット事業と人工衛星事業の垂直統合を実現した。この研究で、この強みを最大化すると同社は話している。
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