国内

2023.10.03 17:15

新しい顧客体験で海外旅行マーケットを開拓

Forbes JAPAN編集部
篠塚:今は技術顧問という立場で支えてもらっていますが、どんな大変な状況になっても、竹内さんに聞くと、あれはやった? これはやったの?と必ず回答があって、いただいたアドバイスはかなり血肉になっている実感があります。

竹内:関係性として、外部の立場だから言えることも正直ありますよ。例えば、経営者だとどうしても感情的になりがちな組織や人事の悩みに対しては、第三者の目線ではっきり伝えることに努めています。

篠塚:ニコニコしながらハードシングスをズバズバと言ってくれますよね(笑)。でも、その関係が僕はすごく好きだし、心地よい。本当はこうしたほうがいいとわかっているけれど、いろんな理由をつけてできないと経営者が思い込もうとしていたり、言葉にできずにいたりすることを見抜いて、ロジカルに導いてくださる。竹内:ポイントは、経営者が悩んでいることをすべて数字で説明してしまうこと。財務諸表とリスクに分類して、その悩みがどの部分の問題で、どんな影響があるのかを細分化すると判断がしやすくなります。

篠塚:僕らが22年4月に提供を開始した「NEWT」は、予約件数が毎月10~20%ずつ成長しています。日本人の出国ベースで見たときの海外旅行マーケットは19年に4兆円ありましたが、まだ40%ほどしか戻っておらず、特にツアーの回復は遅く厳しい状況。この領域に参入するスタートアップはほとんどなく、アプリベースで海外旅行予約が完了できるサービスも依然として少ないなか、「NEWT」は着実にシェアを伸ばせている。今後、海外旅行者にとって使いやすい機能を愚直に実装して、さらにシェアを拡大していきたい。

竹内:着実に前進していると感じていますよ。口出しし過ぎるつもりもないですが、結局のところ、企業は数字でしか通信簿をつくれません。マーケットの大きなうねりを敏感に感じながら、最も効率よく成長できるプランを実行し続ければ、大きな成果につながると信じています。


たけうち・しん◎ビジョナル取締役CTO。電気通信大学卒。富士ソフト、リクルートでシステム開発などに従事した後、2008年、レイハウオリを創業。その後、ビズリーチの創業準備期に参画し、取締役CTOに就任。20年2月より現職。(写真左)

しのづか・たかや◎令和トラベル代表取締役。東洋大学卒。リクルートを経て2011年にLoco Partnersを創業し、宿泊予約サービス「Relux」を展開。17年、同社のM&Aに伴いKDDIグループに参画。20年3月に退任し、21年4月より現職。(同右)

文=眞鍋 武 写真=平岩 享

この記事は 「Forbes JAPAN 2023年10月号」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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