訓練されたイルカ、大幅に増加
直近の報告によると、訓練されたイルカの飼育頭数は大幅に増加しており、イルカへの依存度が高まっていることを示している。イルカはダイバーと直接戦闘することはないが、水中侵入者の存在をハンドラーに知らせたり、識別しやすいようにタグを付けたりすることで、効果的に戦闘の助けとなることができる。イルカの驚くべき泳力は、他の方法では気づかれない可能性のあるダイバーを素早く発見するのに不可欠なのだ。
バンドウイルカは水中で時速約29キロに達することができ、通常時速約10キロの熟練した人間ダイバーの泳ぎをはるかにしのぐ。この驚異的なスピードと卓越した敏捷性により、イルカは海軍基地への潜入を試みるダイバーを特定する貴重な戦力となるのだ。
「Naval News」が入手した情報によると、現在、港周辺には最大7頭のイルカが配備されている可能性があり、特別に設計されたクレードルをボートに使用することで、基地内において簡単に移動させることができる。
対魚雷ネット、深度装薬システム、ロケットランチャーも
しかし、イルカの配備はセヴァストポリ基地を守る防衛システムの一側面にすぎない。ロシア側は、対魚雷ネット、深度装薬システム、ロケットランチャーなど、海軍施設を要塞化するための大規模な設備を導入している。ダイバーがこれらの防御を突破することに成功した場合には、警戒心の強いイルカと対峙するという手強い障害に直面することになるのだ。
ロシア軍が防衛戦略に海洋動物を利用するようになったのは最近のことではない。実際、「スパイ・クジラ」が目撃されたことがあり、おそらく偵察目的で、ロシアの機器を搭載しているのではないかと疑われた。
実はこれらのクジラは人間に対して異様に友好的であり、ハーネスを外す際に人間の助けを求めたのではないかと推測する人もいる。しかし、このような軍事戦術の詳細については各国が厳重に管理しており、この点について各国の発見に関する情報はほとんどない。
アメリカも60年代からイルカを訓練
イルカを軍事利用しているのはロシアだけではない。たとえばアメリカは、1960年代からイルカを訓練し、水中機雷を探知し、その位置をブイで示す訓練を行ってきた。軍事作戦におけるイルカの利用は数十年に及び、この非常に知的で訓練可能な生き物の戦略的価値が強調されている。
軍事防衛にイルカを使うというコンセプトは、当初は特異なものに思えるかもしれない。しかし詳しく調べてみると、その実用性と有効性が明らかになる。世界の2つの大国が防衛戦略にイルカを取り入れているという事実は、海軍資産を守るためのこの型破りなアプローチの背後にある、論理的な理由を物語っているのだ。
(本稿は、英国のテクノロジー特化メディア「Wonderfulengineering.com」からの転載である。)