その理由の1つには、このテクノロジーが世に出てからかなり時間が経っていることがある。卒業式のライブストリームを見たのは10年ほど前だと思うが、それ以来、基本コンセプトは変わっていない。通常、ライブストリームを行うには、スマートフォンまたはSlingStudioなどのカメラシステムが必要だ。
最近メタは、Ray-Ban Metaコレクションの最新バージョンを発表した。新モデルでは、AIボットに話しかけられるようになり、かけ心地もよくなった。
私の目に止まったのは、ライブストリームに関連する機能だ。10月17日発売予定(訳注:日本での発売は未定)の同製品は、メガネのステム(つる)をダブルタップするだけでスマートグラスからフェイスブックまたはインスラグラムに直接ストリーミングできる。メタは、スマートグラスを使ってコメントを読んだり、ライブコメントを聞くこともできると言っている。
スマートフォンを探してアプリのライブストリーム機能を立ち上げる代わりに、すでにかけているスマートグラスですぐにアクセスできることで、ゲームチャンジャーになる可能性を秘めている。スマートグラスでビデオを録画したり写真を撮ったりするアイデア自体は新しいものではないが、このライブストリーム機能を使うと、ライブビデオの共有が実に簡単になるので、もっと人気が出るか、少なくとももっと普及するかもしれない。
ただし、そのためにはいくつかハードルがある。
1つは明白だろう。誰もが1日中メガネをかけているわけではない。私のように、もともとメガネをかけている人にとっての方が理に適っているだろう。そして、サングラスもあることは偶然ではなく、外出することの多い人にアピールするはずだ。
第2のハードルは、私の体験によると、ウェアラブルデバイスで録画した動画は奇妙なものになることがあるということだ。数年前のテック系カンファレンスで、私はシャツに着けた小さな録画デバイスで1日中写真やビデオを撮り続けた。そのほとんどが失敗だった。メガネの場合は、少なくとも録画している方向を見ているわけだが、急に頭を動かすなど、ライブストリームに適していない要素もいろいろとある。
それでも私は、自動的に録画できるというアイデアは良いと思う。スマートフォンを取り出し、アプリを開き、ライブストリームのオプションを探し、録画をスタートするという必要がないので、遅れがほとんど生じない。晴れた日のスケートボード場で、家族の誰かがすごいトリックを披露したとき、すぐにダブルタップするだけでみんなに向けてライブストリームを開始できる。
この種の「その瞬間」の録画には、SNSの使い方を変える可能性がある。人生で最も驚く瞬間の中には、突然起きるものがある。運転中に見えた太陽アーク、幼い子どもが初めて何歩か歩いたときなど。ほとんどは、「スマホを出して」と言っている間に、その瞬間は終わっている。
私はこのデバイスを使うことで、特に野外にいる時とっさのライブストリームやビデオや写真が簡単になるのかどうか試してみたい。もしこの製品が成功して、今より多くのライブストリームが見られるようになれば、このアイデアが急速にヒットする予感がする。
果たしてそうなるかどうか、注目したい。
(forbes.com 原文)