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2023.10.03 15:30

OpenAI創業者も認めたタスク管理ツール「Linear」が評価額4億ドルに

(写真左から)Linear co-founders Jori Lallo, Karri Saarinen, and Tuomas Artman.(C)Linear

(写真左から)Linear co-founders Jori Lallo, Karri Saarinen, and Tuomas Artman.(C)Linear

人工知能(AI)やフィンテック関連を含む数多くのスタートアップが利用するプロジェクト管理ツールが「Linear」だ。4年前、同社CEOのカーリ・サーリネン(Kaari Saarinen )がLinearをリリースすると、開発者を中心に2カ月で1万人が登録した。その1年後に一般公開されたときには、すでに1000社以上が利用していた。
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同社のウェブサイトには、顧客企業としてAIユニコーンのCohere(コヒア)やRunway(ランウェイ)、フィンテックユニコーンのRamp(ランプ)など、飛ぶ鳥を落とす勢いのスタートアップの名前が記載されている。

Linearは今、大企業の顧客を獲得しようとしており、その実現のためにシリーズBラウンドで3500万ドル(約52億円)を調達した。このラウンドは、ベンチャーキャピタルのアクセルが主導し、テック企業の創業者らが多く参加した。関係者によると、Linearの評価額は約4億ドル(約590億円)に達したという。

サーリネンによると、今回のラウンドの目的は資金調達よりも、新たな成長ステージにステップアップすることにあったという。Linearが、過去2年間でマーケティングに投じた費用は3万6000ドルに過ぎず、最近まで営業担当者は1人しかいなかった。それにも関わらず、同社は利益を出し続けている。収入が支出を上回るのは、急成長中のテック企業としては珍しいことだ。
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チケット管理やロードマップ管理、開発サイクルの管理を行うツールは、Linearのはるか前から存在する。アトラシアンのJiraは20年以上前からあり、最近ではGitLabなどが課題追跡機能をリリースしている。また、プロジェクト管理では、Asanaなどのツールが幅広く利用されている。

それにも関わらず、サム・アルトマンの暗号資産プロジェクト「Worldcoin」や、ニュースレター配信プラットフォームのSubstack、ソフトウェア開発支援のRetoolなど、多くのテック企業がLinearを利用するのは何故だろうか? サーリネンによると、より使いやすいキーボードショートカットなど、ちょっとした利便性の高さによって、エンジニアたちが率先してLinearを利用しているのだという。

「このようなシステムには、協力と協調が求められるが、ユーザーがいなければ何も起こらない。Linearのプロセスは非常に合理化されている点が評価されている」と、サーリネンはいう。

Linearが立ち上げ直後から多くのユーザーを獲得できたもう1つの理由は、3人の創業者の個人的なネットワークにある。創業メンバーであるサーリネンとヨリ・ラロ(Jori Lallo)、トゥオマス・アートマン(Tuomas Artman)は3人ともフィンランド出身だ。サーリネンとラロは、以前にも共同でスタートアップを立ち上げ、シリコンバレーのアクセラレーターであるYコンビネータの育成プログラムを経てコインベースに会社を売却後、同社に残って初期社員として勤務した経歴を持つ。

サーリネンは、その後エアビーアンドビーでデザイン・リーダーを務めた。アートマンは、以前ウーバーでエンジニアリングのリーダーを務めていた。3人は、サンフランシスコのフィンランド人技術者コミュニティで知り合ったという。
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編集=上田裕資

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