その後数秒間、2A6のバランスの取れた設計がドラマチックに映し出される。対戦車ミサイルから乗員を守るためだろうが、2A6は後部に搭載されたエンジンをロシア軍に向けている。そして砲撃を加える合間に前後に動く。おそらくロシア軍が狙えないようにするためだろう。
こうした機敏な動きは、主力戦車のT-72を含め、旧ソ連が開発した戦車の多くはできない。というのも、より機動性が優れている西側製の戦車に標準装備されている高速で後退するギアがソ連製戦車にはないためだ。
車両から降りたウクライナ軍の歩兵らは、自分たちが特別なものを目にしていることを知っている。世界で最も優れた戦車の1つが、ドイツ防衛機器メーカーのクラウス・マッファイ・ウェグマンが設計したとおりに動いているのだ。戦車の砲弾が、映像には映っていないロシア軍の陣地に打ち込まれると、歩兵たちは歓喜の声を上げる。
この接近戦が第47旅団の戦術に新たな変化をもたらすかどうかは何とも言えない。確かに、同旅団がメリトポリ軸に沿って前進するにつれ、戦場は変化している。地雷の密度は低くなっている。ますます劣勢に立たされているロシア軍の砲兵隊の砲撃は減っている。
第47旅団に残された18両のレオパルト2A6にとって、ロシア軍の陣地に接近する方が安全なのかもしれない。そして近いうちに、30両を超える2A6より古いレオパルト2A4Vや、まだ破壊されていない13両の英国製チャレンジャー2、今後到着する31両の米国製M-1エイブラムスといった優れた戦車も同じような戦い方をするかもしれない。
(forbes.com 原文)