ところが、2020年10月にビールが減税され、新ジャンルが増税されたため、その差が少し縮まり、この10月1日よりさらにビールが減税され、発泡酒と新ジャンルが統合され、新ジャンルはかなりの痛手だ。また、この税率の変化はまだ続き、2026年10月には、すべて統合されて同じ税率となり、ビールは減税、発泡酒・新ジャンルは増税されることになる。つまり、メーカーが努力して安い税率の飲料を開発し消費者に提供してきたが、税率が同じになることでその差は原材料や工程差などコストによる違いだけになってしまうのだ。
こうした変化により、消費者はビールに対してどう思っているのか、産経リサーチ&データが調査している。
それによると、ビールが値下げ、新ジャルが価格上昇することで、飲む量の変化について問うたところ、ビール飲用者、発泡酒飲用者、新ジャンル飲用者それぞれで「現在と変わらない」がもっとも多かった。ただ価格が上昇する新ジャンルは、やはり減ったり、ビールに鞍替えする人の割合が多くなっている。
また、ビールは好きか問うたところ、男性は若い世代ほど「好き」と答えた人は少なく、特に男女とも20代は「好きではない」が圧倒的に多い。若者の飲み会では「とりあえずビール」という人は少ないのかもしれない。
とはいえ、全世代でみると、家庭でよく飲むお酒としては、ビールが男性56.3%、女性が45.8%でトップとなり、発泡酒が男性19.2%、女性17.0%、新ジャンルが男性23.5%、女性14.4%となっている。発泡酒より新ジャルの割合が男性は高かったが、今回の値上げで勢力図は変わってきそうだ。
ちなみに、すぐ思い浮かべるビールのメーカー・ブランドとしては、男性、女性ともにキリンビールがトップだったが、20代男性は圧倒的にアサヒビールで、女性も40代以下はアサヒビールが優勢。アサヒビールは若い層の心を掴んでおり将来的には優位になるかもしれない。
こうしたことから、ビール系飲料の勢力図は、今回の酒税法改正により若干の動きは見られそうだが、意外と値段よりも自分の嗜好にあった飲み物を選ぶ傾向にあるようだ。
出典:産経リサーチ&データ「ビールに関する意識実態調査」より