こうした先行例を見れば、デジタルチケットの導入がもたらす効果は、興行ビジネスとその顧客にとって計り知れず、業界全体の活性化に繋がることは明らかである。コンサートチケットを購入しても抽選制という日本独自の商習慣により、どの席を購入したのかも公演直前までわからないような前時代的な方法から脱却し、二次流通サービスが普及し日本のチケット産業のガラパゴス化が解消されることを望んで止まない。
チケットマスターは日本のチケット大手3社の買収をここ20年以上検討してきたが、全社から拒否され日本進出は叶わなかった。しかし、NetflixやAmazonのように斬新で利便性の高いサービスで市場を奪取する可能性は否定できない。大手興行元、スポーツリーグとチケット3社が、オープンアーキテクト方式でデジタル・プラットフォームの共同運用を始めれば、世界の潮流から取り残されず、消費者にとっての利便性を担保することが可能になるはずである。