パリの検察当局によると、捜査はフランス・アルプス地方クールシュベルの豪華スキーリゾートの不動産売買をめぐるもの。地元紙ルモンドは当局者の話として、オリガルヒの実業家ニコライ・サルキソフが2018年、複雑な取引を通じて同地の複数の物件を取得した際、アルノーの会社から融資を受けていたと報じている。取引にサルキソフ本人の名前はなかったという。
同紙によれば、取引はさまざまな法人を通じて行われており、資金の出所を不明瞭にする狙いがあった可能性がある。アルノー側はサルキソフ側に最大1830万ユーロ(約29億円)を融資した疑いがあり、サルキソフはこの取引によって120万ユーロ(約1億9000万円)のキャピタルゲインを手にしたという。
パリ検察当局は29日、ロイター通信の取材に、サルキソフとアルノーが関係する金融取引について予備捜査を2022年に開始したことを認めた。予備捜査は犯罪が行われたことを意味するものではない。
捜査はフランス財務省の資金洗浄情報部門TRACFIN(トラクファン)が指揮しているとされる。
アルノーはルイ・ヴィトン、ティファニー、クリスチャン・ディオール、セフォラ、モエ・エ・シャンドン、ヘネシー、クリュッグなどのブランドを擁するLVMHを率いる。フォーブスのリアルタイム世界長者番付によると、29日現在の資産額は1872億ドル(約28兆円)で、米実業家イーロン・マスクに次ぐ世界2位の富豪。子ども5人もみなグループ企業で働いている。
(forbes.com 原文)