欧州

2023.09.30

仏当局、富豪アルノーを捜査 オリガルヒの資金洗浄に関与の疑い

仏LVMHモエヘネシー・ルイヴィトンのベルナール・アルノー会長(Chesnot/Getty Images)

フランスの高級ブランド大手LVMHモエヘネシー・ルイヴィトンの会長兼最高経営責任者(CEO)で世界2位の富豪のベルナール・アルノーが、ロシアのオリガルヒ(新興財閥)との取引に絡みマネーロンダリング(資金洗浄)の疑いで、仏当局による捜査を受けていることが明らかになった。欧米メディアが29日までに報じた。

パリの検察当局によると、捜査はフランス・アルプス地方クールシュベルの豪華スキーリゾートの不動産売買をめぐるもの。地元紙ルモンドは当局者の話として、オリガルヒの実業家ニコライ・サルキソフが2018年、複雑な取引を通じて同地の複数の物件を取得した際、アルノーの会社から融資を受けていたと報じている。取引にサルキソフ本人の名前はなかったという。

同紙によれば、取引はさまざまな法人を通じて行われており、資金の出所を不明瞭にする狙いがあった可能性がある。アルノー側はサルキソフ側に最大1830万ユーロ(約29億円)を融資した疑いがあり、サルキソフはこの取引によって120万ユーロ(約1億9000万円)のキャピタルゲインを手にしたという。

パリ検察当局は29日、ロイター通信の取材に、サルキソフとアルノーが関係する金融取引について予備捜査を2022年に開始したことを認めた。予備捜査は犯罪が行われたことを意味するものではない。

捜査はフランス財務省の資金洗浄情報部門TRACFIN(トラクファン)が指揮しているとされる。

アルノーはルイ・ヴィトン、ティファニー、クリスチャン・ディオール、セフォラ、モエ・エ・シャンドン、ヘネシー、クリュッグなどのブランドを擁するLVMHを率いる。フォーブスのリアルタイム世界長者番付によると、29日現在の資産額は1872億ドル(約28兆円)で、米実業家イーロン・マスクに次ぐ世界2位の富豪。子ども5人もみなグループ企業で働いている。

forbes.com 原文

翻訳・編集=江戸伸禎

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