(キャロル・チョイ社長の補足:日本のファンのユニークな点は、いかに自分がディズニーのファンであるかを表現しようとしてくれている点だと思う。大人もキャラクターグッズをもっていたり、パークではカチューシャや帽子を身につけていたりする。他の国ではあまりないことで、日本独特の現象だと言える)
──100周年の特別動画を見たが、胸が熱くなった。こういった宣伝戦略はどこから組み立てるのか。
ボブ・アイガーが社長に戻ってきた時、100周年のキャンペーンについて話し始めた。ディズニーが歩んできた100年間を1つの短い動画にまとめるのは非常に難しかったが、どうすればディズニーの真髄を表現できるかを一生懸命考えた結果だ。シニアレベルのクリエイターたちと相談し、いろいろなアプローチを試した。
ディズニーファンにとっては、誰でも人生のあるシーンを共にしたキャラクターがいるはずだ。それはマーベルかもしれないし、ディズニーかもしれないし、ピクサーかもしれない。誰かしら心が通うキャラクターをもっていると思ったので、それをどうにかして表現できないかと考えた。ディズニーらしさの真髄が表現できたと思っている。
──リーダーシップにおいて大事にしていることは?
重要なことは2つ。1つは、楽観的な考え方をもつということ。私が今まで学んできたメンターたちは常に前向きな考え方をもっていたし、その考え方はチーム全体にポジティブな影響を与えるからだ。
2つ目は、自分はさておいて、チームのメンバーたちの力をいかに高めていけるかを常に意識すること。チームメンバーの力をどうすれば向上させられるか。自分のことよりもまず相手のことを考えることがリーダーにとっては大切だ。
どうすれば皆にインスピレーションを与えられるかについても、常に考えている。特にクリエイティブの過程においては、ブレストの機会も多いし、チームメンバーがアイデアを発言しやすい場づくりが非常に大切になってくる。
さらに、自分の仕事を好きでいることも大事なことだ。シンプルだけれど、それが結果につながってくる。私は皆さんと同じくディズニーファンであり、大好きな会社で働くことができて毎日とても楽しい。新たな課題もあるけれど、新たなチャンスも到来する。優秀なチームメンバーに恵まれ、彼らと一緒の時間を過ごすことで、アイデアが湧いてくる。そういう意味で、みんなが仕事をしやすいような場作りも意識している。
──今後の目標や課題は?
ウォルト・ディズニー・カンパニーが展開するさまざまなプラットフォームをどう包含していくかが課題だ。ディズニーはさまざまな分野のクリエイターを多く抱えているが、私の仕事は、そうした部門間のクリエイティブやマーケティングをどう横断的につなげて、いちばんいい形で発信していけるかだと思っている。
これからの100年も見据えながら、パートナー企業やファンの方々と多くの接点をもち、「ディズニーらしさ」を余すことなくどう伝えていくか。100周年を迎えた今、その役割を積極的に果たしていきたいと思っている。