その初代CBOに就任したのは、アサド・アヤズ氏。入社18年のベテランで、これまでにルーカスフィルムの『スター・ウォーズ/ フォースの覚醒』、マーベル・スタジオの『ブラックパンサー』、『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』など、映画作品のマーケティングキャンペーンを展開、主導してきた人物だ。
まずは、彼が手がけた100周年ブランドキャンペーンの特別映像を見てほしい。
ディズニー社がこれまでに良質な物語を生み出し、長年にわたってファンを楽しませ続けてきたのは多くの人が知るところだが、近年はディズニーブランドだけでなく、マーベル、ピクサー、ルーカスフィルム、21 世紀フォックスなどを次々と仲間に加え、「Disney+」での配信も含めて、非常に多くの人気コンテンツやスターキャラクターを抱えている。
ウォルト・ディズニー・カンパニーは、なぜ今、CBOを設置したのか。その狙いとミッションについて、今月初来日したアヤズ氏に聞いた。
──チーフ・ブランド・オフィサー(CBO)とは、具体的にどのような仕事か。どんなミッションがあるか。
チーフ・ブランド・オフィサーとは、ウォルト・ディズニー・カンパニーが手がけるすべてのコンテンツや体験の宣伝戦略について、横断的に統括する新しい役割だ。
ディズニーブランドにとっていちばんいい形で、パートナー企業や消費者の方々と多くの接点をつくり、コンテンツや体験の魅力をどれだけ世界中のファンに伝えていけるかがミッションとなる。
このポジションが新設されたひとつのきっかけは、10月16日にウォルト・ディズニー・カンパニーが創立100周年を迎えることにある。「ディズニー100(ワンハンドレッド)」という世界的キャンペーンにおいて、よりパワフルにキャラクターやストーリーの魅力を伝えたいというのが狙いのひとつだ。
また、ここ数年で、ファンや消費者とエンターテインメントとの接点は、大きく変化した。ソーシャルメディアでの発信も含め、我々の想いやコンテンツの魅力をより積極的に伝えていきたいと考えている。
──ディズニーのブランディングにおいて、いちばん大事にしていることは?
多くの人の心を動かし、イマジネーションを大切にする「ディズニー」としての姿勢を、そのまま伝えていくことだと思う。創業者のウォルト・ディズニーは、リスクをとりながらも恐れることなく、常に革新的なクリエイティブを追求してきた人物だ。イマジネーションの素晴らしさを伝え、現実を忘れて没頭できるストーリーをつくり続けてきた。それこそが、私たち「ディズニー」としての約束であり、他のブランドとは違う強みだと思っている。
──今回、来日した理由は?
ウォルト・ディズニー・ジャパンのキャロル・チョイ社長の招待によるものだが、日本は私たちにとって非常に重要なマーケットだと感じている。ディズニーと共に歩んだ歴史も、とても長い。
今回、私は初めて東京ディズニーランドと東京ディズニーシーを訪れることが叶い、1日かけて回ったが、素晴らしかった。お客様の楽しみ方も、世界のどことも違って非常にユニークだと感じた。
これまでに訪れたことのあるどのパークともまったく違う体験ができたと思う。日本にいる多くのファンの皆さんがキャラクターを愛してくれていて、そのストーリーを楽しんでくれているというのが非常によく伝わってきた。今後日本でブランドキャンペーンを展開するうえでも、多くの学びがあった。