2023.10.15 11:30

時代を読む、ストーリーのあるホテル No.32「庭のホテル東京」

Forbes JAPAN編集部

ホテルの入り口を入ると、天井の高いロビーは明るく、中心には巨大な行燈のライティングが鎮座しスタイリッシュな雰囲気を醸し出している。ロビーから続くフレンチレストランへと入ると、ガラス窓の外には、草木の繁る中庭がある。オープン時、総支配人は「きれいに刈り込まれた植木ではなく、自然の雑木林のような緑がある庭にしたい」と話していた。今では4カ所の庭を持つホテル(ほかに、日本庭園の石庭、庭屋一如の数寄の空間としてラウンジテラス、ホテル最上階のルーフトップテラス)だが、当時から象徴的な中庭では、湧水・滝・流水の3つの水景とともに大きく育った木々や草花がゲストの心を癒している。都心とは言え、この庭には様々な野鳥も飛んでくる。庭の対面には日本料理レストランがあり、ガラス窓を通して向こう側からもこの中庭を鑑賞できる。

リフレッシュラウンジとそのアウトドアテラス。滞在客専用のプライべートなスペースで畳の小上がりやライブラリーが設えてある。

リフレッシュラウンジとそのアウトドアテラス。滞在客専用のプライべートなスペースで畳の小上がりやライブラリーが設えてある。


客室はリノベーションも済み、使い勝手のいい広さに、和の調度品や家具、障子、茶棚、茶道具、そして壁紙にも和のセンスが活かされており、よりモダンな空気感と和の要素が巧く融合し独特な高級感が漂っている。

和のコンセプトにこだわる新しい客室‘シグネチャールーム’(36㎡)。ルーツが旅館なだけに、室内には畳やヒノキ風呂、障子などを設え、優しい和室の趣も漂う上質感。

和のコンセプトにこだわる新しい客室‘シグネチャールーム’(36㎡)。ルーツが旅館なだけに、室内には畳やヒノキ風呂、障子などを設え、優しい和室の趣も漂う上質感。

シグネチャールームの一角。鉄瓶や日本茶を揃え、とりわけ木組みの美しい組子細工は和工芸の逸品。

シグネチャールームの一角。鉄瓶や日本茶を揃え、とりわけ木組みの美しい組子細工は和工芸の逸品。


館内のレストランは2カ所、前出のようにカジュアルなフレンチレストラン「ダイニング 流」、そして日本料理 縁(ゆくり)」がある。会席料理から一品料理まで四季を味わえる和食に、海外からのゲストも舌鼓。2カ所共に外部からのゲストも受け入れており、昼時はいつも賑やかな光景が広がっている。

カジュアルフレンチとして人気の「ダイニング 流(りゅう)」はこだわりの契約農家から直接届けられる新鮮な野菜やハーブなどを使用、食材の旬を味わえる。

カジュアルフレンチとして人気の「ダイニング 流(りゅう)」はこだわりの契約農家から直接届けられる新鮮な野菜やハーブなどを使用、食材の旬を味わえる。


このホテルを俯瞰で見ると、旅館のようなきめ細やかなサービスがあり温かい。また食の充実があり、そしてホテルとして今時のスマートな施設造りもある。散策にも向いていて、神田の古本屋通りに歩いて数分の距離だ。秋葉原も至近、新宿にも近いこの水道橋で時を刻む江戸の香りを残すホテル、広い東京で隠れ家ホテルに出会ったような心温まる空気感もある。社会の一線で活躍するエグゼクティブにとって、気取らずに、肩の力を抜いたここでのステイが、どれほど心の疲れを解放してくれるだろうか。



庭のホテル 東京
東京都千代田区神田三崎町1-1-16
03-3293-0028
https://www.hotelniwa.jp/

文=せきねきょうこ

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