北米

2023.09.30 09:15

ファストフード業界の最低賃金が時給約2980円に、米カリフォルニア州

米カリフォルニア州ロサンゼルスのマクドナルド店舗前で、待遇改善を求めてデモを行うファストフード従業員と支援者ら(2021年4月16日撮影、Mario Tama/Getty Images)

米カリフォルニア州ロサンゼルスのマクドナルド店舗前で、待遇改善を求めてデモを行うファストフード従業員と支援者ら(2021年4月16日撮影、Mario Tama/Getty Images)

米カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事(民主党)は28日、州内のファストフード業界の最低賃金を時給20ドル(約2980円)に引き上げる法案に署名した。現行の時給15.50ドル(約2300円)から大幅な増額で、全米の州最低賃金では最高額となる。現在の最低賃金は、州の生活賃金を大きく下回るとして見直しが進められていた。

新たな最低賃金は来年4月1日に発効し、全米に60店舗以上を展開するファストフードチェーンの従業員に適用される。

新法に基づき、ファストフード業界、労働者代表、議長を務める無所属の一般市民1名で構成される「ファストフード協議会」を設置することも決まった。同協議会は、2029年まで毎年最低賃金を引き上げる権限を有し、引き上げ幅は年率3.5%か消費者物価指数の年間変動率のいずれか低いほうを適用する。

米NBCによれば、新しい最低賃金は労働者と外食産業との長年にわたる対立に終止符を打つものだ。外食産業は、1億ドル(約149億円)以上を投じて法案の成立を阻止する構えだったという。

PBSによると、新しい最低賃金が適用される労働者数は約50万人に上る。

特定業界に対象を絞った最低賃金の例では、同じく28日にニューヨーク市で、フードデリバリー業界で働く人の最低賃金を時給17.96ドル(約2700円)とする条例が施行されることが決まった。フードデリバリー大手のウーバー、ドアダッシュ、グラブハブが条例の施行差し止めを求めて訴訟を起こしていたが、州最高裁が3社の申し立てを退けた。

現在、全米で最高額の最低賃金はカリフォルニア州ウェストハリウッド市の時給19.08ドル(約2840円)。この最低賃金は来年6月まで有効で、その後は消費者物価指数の調整に従って引き上げられる。

米労働統計局によると、昨年5月時点でカリフォルニア州のファストフード従業員の平均時給は16.60ドル(約2470円)、平均年収は3万4530ドル(約514万円)だった。これは全米でも最高水準だが、マサチューセッツ工科大学(MIT)の生活賃金計算ツールによればカリフォルニア州の生活賃金(時給)は大人単身世帯で21.24ドル(約3160円)、大人1人・子ども1人の世帯で43.44ドル(約6460)円で、労働者たちは最低賃金との格差を問題視していた。

カリフォルニア州議会は今月、医療従事者の最低賃金を25ドル(約3720円)に引き上げる別の法案も可決している。AP通信によるとこの最低賃金は、医師や看護師を除き、病院や透析クリニックなど医療施設で働く全員が対象となる。

forbes.com 原文

翻訳・編集=荻原藤緒

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