カリフォルニア新車販売店協会(CNCDA)によれば、トヨタは2017年第2四半期(4月から6月)、同州の自動車市場を支配し、9万台をわずかに下回る新車販売数を誇っていた。一方、テスラの新車販売数は約4300台と、誤差程度でしかなかった。
時計の針を2023年第2四半期に進めると、状況はがらりと変わる。トヨタの新車販売数は、2017年と比べて2万台以上も落ち込み、2023年第2四半期には6万7482台だった。これに対して、テスラの新車販売数は6万9212台へと急増し、2017年第2四半期と比べて、実に1515%増となった。
CNCDAによれば、テスラのモデルYは、カリフォルニアの新車市場で最も売れた車種となった。
歴史的なマーケットシフトと呼ぶべき事態だ。しかもこのシフトは、カリフォルニアだけでなく全米で起こっている。
「実際、テスラはいま全米で絶好調だ」と、S&P Global Mobilityのアナリスト、トーマス・リビーは電話インタビューで述べた。
「例えば、2月から6月までの5カ月間にわたり、どの月を見ても、モデルYは全米で首位のモデルだった」とリビーは述べる。そして、これは小売販売車両の数字であり、業務用車両の一括購入を除いた数字だと補足した。
トヨタが抱える課題の一部は、他のレガシー自動車メーカーと共通する。自動車を「車輪が付いたスマートガジェット」へと変貌させたテスラは、AIやOTA(Over the Air)ソフトウェアを頻繁にアップデートしている。完全自律走行(FSD)システムの頻繁なアップデートにより、特定の運転技術に関するテスラ車の制御能力は格段に進歩した。
こうしたパラダイムシフトに対し、他の自動車メーカーは依然として対応に苦慮している。
日本のビジネスメディアは、こうした課題を認識している。また、2022年時点の生産台数で世界最大の自動車メーカーであるトヨタが、これまでは、時に不可解な理由でEVへの転換に抵抗してきた事実にも気づいている。
日本経済新聞は、2023年3月の記事でこう述べている。「新たなエネルギーやソフトウェアへの転換に失敗すれば、トヨタは、かつて携帯電話業界を支配していた大企業各社がアップルのiPhoneの登場で急速に競争力を失ったのと同じ轍を踏む可能性があると、一部の専門家は警鐘を鳴らす」