パブリックシチズンは、2023年9月に発表した声明でこう述べている。「世界の自動車購入希望者の50%以上が電気自動車を求めている。【略】トヨタは、気候目標の達成のため、ハイブリッド車を含めた化石燃料車の生産をやめなければならない」(筆者は、パブリックシチズンによる批判についてトヨタにコメントを求めたが、回答は得られなかった)。
手薄なEV車種
現時点で、トヨタブランドが米国で販売している完全EV車種はbZ4Xだけだ(レクサスブランドではRZを展開している)。自動車情報会社のEdmundsは、フル装備で価格5万ドル(約745万円)のbZ4Xをレビューし「価格に十分見合った価値があるとはいえない」と評価した上で、フォードのマスタングMach-E、ヒョンデのIONIQ 5などに劣るとした。なおトヨタのEVは、テスラのFSDに匹敵する技術を搭載していない。
完全EV車種の不足は、トヨタの前CEOである豊田章男(現会長)の責任と言っていいだろう。豊田会長は、自動車業界がEVだけに力点を置くことにたびたび懸念を示し、EV推進を次世代自動車の唯一の選択肢とすべきではないと主張してきた。燃料電池ベースのMIRAIは、トヨタが提示する代替案の1つだが、米国市場では成功とは程遠く、カリフォルニアでは大コケも同然だった。
新CEOの佐藤恒治は、EVおよび関連ソフトウェアの開発を急ぐ方針のようだ。
しかしトヨタにとって、より差し迫った現実的な課題は、テスラとの競争だ。テスラは、2030年までに世界最大の自動車メーカーへと成長すべく邁進している。
そしてテスラの目標は、年を追うごとに現実味を帯びつつある。
(forbes.com 原文)