その他

2023.10.01 13:00

イラン、ジェット推進の新型自爆ドローン公開 ロシアに輸出も?

プロペラの付いた従来型シャヘド(Shutterstock.com)

プロペラの付いた従来型シャヘド(Shutterstock.com)

イラン国営テレビは、ロシアがウクライナ攻撃に使用しているイラン製の自爆型ドローン「シャヘド」にジェットエンジンを搭載した新型モデルを公開した。現行モデルのシャヘド136はプロペラ駆動で、ピストンエンジンの音から「空飛ぶ原動機付き自転車」とも呼ばれる。新型ははるかに高速で、迎撃はより困難になるだろう。

「旗手」

新型ドローンは、10月公開予定のドキュメンタリー映像作品『Parchamdar(旗手)』の予告編に登場する。この作品は、イランのドローン開発・生産の長い歴史をたたえる内容だ。


イラン空軍は1979年のイスラム革命後、米国との関係途絶により米国製軍用機の整備に困難をきたした(とはいえ、F-14戦闘機「トムキャット」の運用を一部継続させるという驚くべき成功を収めてもいる)。そうした中、無線操縦の模型飛行機を作っていたイランの学生たちが、これを対イラク戦争で偵察に活用できると気づき、新たな国家産業が誕生した

ドローンはイランの国防力に不可欠な要素となっただけでなく、外交政策の重要な手段になった。同盟国への優遇措置としてドローンを提供すれば、イランは国際紛争に直接関与せずに影響力を行使でき、同盟国は他では得がたい兵器を入手できる。イランのドローン産業のおかげでイエメンの反政府武装勢力フーシ派はサウジアラビアの空港や製油施設を攻撃でき、レバノンのシーア派武装組織ヒズボラやイラクのシーア派民兵もハイテク兵器を利用できる。

昨年には、ロシアがイラン製のシャヘド131とシャヘド136を運用していることが明らかになった。イラン政府は否定したが、ロシアはこれまでに輸入したシャヘド約2000機をウクライナに向けて発射しており、今や自国内に巨大な組み立て工場を設立している。

ジェットエンジン搭載の「原付」

『Parchamdar』は今週、ドローン開発の中核を担ってきたイラン革命防衛隊(IRGC)航空宇宙軍の司令官によって制作が発表された。予告編にはさまざまなドローンが登場するが、それらはイランが開発した機体のごく一部にすぎない。軍事情報分析を行うOryx(オリックス)によれば、これまで143種類のドローンが確認されている。

予告編には新型シャヘドの映像が6秒間含まれている。この新型には、従来型にあったプロペラが付いていない。

新型の登場に驚きはない。イランは2021年にドローンや巡航ミサイル向けのマイクロターボジェットエンジン「Ranseh-1」を発表し、国際的な懸念の声を招いた。ターボジェットはジェットエンジンの進化における初期タイプの一つで、ピストンエンジンと比べて大きさと出力がはるかに大きい。ターボファンエンジンより燃費は悪いが、そのパワーとシンプルな設計は一部の軍事用途には魅力的だ。ウクライナ軍の最近の攻撃で効果を発揮している英仏共同開発の巡航ミサイル「ストームシャドー」は、小型だが強力な仏MicroTurbo製TRI-60-30エンジンを搭載し、速度は最高で時速約1000kmに達する。
次ページ > 機種にカメラ搭載か

翻訳・編集=荻原藤緒

タグ:

連載

Updates:ウクライナ情勢

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事