大谷翔平がWBCで見せたリーダーシップとパフォーマンスが、日本を熱狂の渦に包んだ。
五郎丸歩を中心とした2015年ラグビーワールドカップでの快進撃が、ラグビー人気を押し上げた。
八村塁、渡邉雄太のNBAでの活躍があったからこそ、記憶に新しいバスケットボール・ワールドカップの熱狂に繋がった。
Who`s Next?
今回は、日本でかつて“メジャースポーツ”とされたアイスホッケーにおいて、アメリカ4大スポーツの一つ、NHL(ナショナルホッケーリーグ)を目指している青年を推薦したい。
平野裕志朗。
今、彼は最もNHLに近い日本人と言われている。かつて福藤豊という選手が日本人初のNHLプレイヤーとなったがポジションはゴールキーパー。現在、NHL直下のリーグ、MLBでいう3Aに所属する平野が昇格すれば、日本人初の“フィールドプレイヤー”となる。
彼が目指すのは頂の舞台だけではない、日本アイスホッケーの再興をも背負っている。
アイスホッケーはかつて、日本において“メジャー”スポーツだった
多くの読者はご存じないだろうが、かつて首都圏や全国区でアイスホッケーの試合が地上波で放送されていた。2004年には、人気ドラマの象徴とされた「月9」の枠で木村拓哉がアイスホッケー選手を演じた、「PRIDE」という作品も放映されている。
なぜ、アイスホッケーはメジャースポーツでなくなってしまったのか? それは、ある事件が関連している。
堤義明の逮捕である。
かつてForbesの世界長者番付ランキングで日本人で初めて世界一となった、西武鉄道グループのオーナー。一見関係ないと思われる、彼の逮捕によって、日本のアイスホッケー界が解体されてしまう。
JOCの顧問を歴任するなど、日本のスポーツ界に尽力した堤。彼は西武のオーナーとして、日本アイスホッケーにおけるトップチーム「西武鉄道アイスホッケー部」と「コクドアイスホッケー部」のオーナーでもあった。
しかし事件以後、「脱・堤」を図った新たな経営層の意向もあり、西武鉄道はコクドへ一本化、そのコクドも形を変え廃部。堤の遺産は潰され、結果として日本のアイスホッケー界から絶対的なリーダーと、人気と知名度を備えたプロ野球でいうジャイアンツのような存在がいなくなってしまった。