スポーツ

2023.10.24 09:30

日本の「プロヴィンチア」J2甲府が、世界舞台で躍進

坂元 耕二
サッカー界には「プロヴィンチア」という言葉がある。大都市や大資本のクラブに、地域が一体となって対抗する地方クラブを表すイタリア語であり、Jリーグへ初めて挑戦した99年以来、甲府はJリーグのプロヴィンチアになる目標を掲げてきた。

同シーズンから3年連続でJ2の最下位に甘んじ、19連敗を喫した00シーズンには債務超過に陥り、クラブの存続が危ぶまれた。山梨県中央市に本社を置く食品メーカー「はくばく」がメインスポンサーになってクラブを建て直し、はくばくの本社工場で火災が発生したときには甲府のファン・サポーターが商品を積極的に購入する運動を展開した。

プロヴィンチアの精神を体現してきた甲府は、06シーズンの初昇格を皮切りに、J1で通算8シーズンを戦ってきた。迎えた今シーズン。いまも胸に「はくばく」のロゴが入るユニフォームで、甲府はさまざまなハンデを乗り越えてアジアに大きな爪痕を刻んだ。

ACLグループリーグは全6試合を戦う。前出の長谷川はこんな波及効果を期待する。

「今日勝ったことで、また国立競技場でのACLに足を運んでくれる人が増えればいいな、と思っています。僕たちのような地方の小さなクラブにとっては来てくれるだけですごく嬉しいし、ちょっとでも僕たちの試合に興味を持ってくれればさらに嬉しいので」

甲府は敵地に乗り込む25日の浙江(中国)戦をへて、11月8日に浙江とのホーム戦、同29日にはメルボルン・シティとのホーム戦を再び国立競技場で行う予定だ。

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