メタは、高度な会話型アシスタントの「メタAI」を、ワッツアップやメッセンジャー、インスタグラムなどのアプリのユーザー向けに提供する予定。メタAIは、OpenAIのChatGPTやAnthropic(アンソロピック)のClaude(クロード)などの対話型AIと似ており、まずはベータ版として米国のみで利用可能になるという。生成AIの普及が進む中で、同業界をリードするOpenAIなどに対抗する意思を示すものだ。
メタAIは、3つの大きな差別化要因を持っている。まず最初に、マイクロソフトのBing検索エンジンとの新たなパートナーシップにより、リアルタイムのウェブ検索結果を提供する。この機能は同日、ChatGPTにも導入されている。
また、画像生成AIのDALL-EやMidjourneyに類似した技術を使用し、プロンプトから実写のようにリアルな画像を生成することができる。OpenAIもまた、今後数カ月でChatGPTにDALL·E 3を導入する予定だ。
しかし、最も重要な差別化要因は、メタがこのAIを数十億人のユーザーに提供しようとしていることだ。同社のサービスは多くの人にとって最初の生成AIへのタッチポイントとなる。The Vergeが報じたように、メタは現在、大規模言語モデルのトレーニングにインスタグラムやフェイスブックのコンテンツを利用していない。
メタはまた、ワッツアップやメッセンジャーなどのメッセージングツールに向け、AIを用いてテキストをスタンプに変える機能を発表した。さらに、インスタグラムには、ユーザーが入力したプロンプトに基づいてAIが画像や背景を変更する編集ツールを導入する。
同社はさらに、大坂なおみやスヌープ・ドッグ、パリス・ヒルトンを含む20人以上の著名人やインフルエンサーの姿をしたAIパーソナリティと会話できる機能も発表した。
メタは、企業やクリエイター、開発者が独自のAI体験を構築できるよう、時間をかけてAI機能を開放していく計画で、ここには、ユーザーが独自のAIチャットボットを作成できるAIスタジオが含まれる。
同社のAIは、ワッツアップやインスタグラムなどのアプリを通じて、人々の日常のデジタル体験に統合される。
一方、メタバース事業などのメタの未来的なVR(仮想現実)への投資は、損失を出し続けている。フォーチュン誌の7月のレポートによると、メタのリアリティラボ部門は、過去18カ月間で210億ドル(約3兆1000億円)近い損失を出していた。
メタの27日の発表は、同社のアイデンティティが単なるソーシャルメディア企業にとどまらず、AIを原動力とした巨大企業に進化しつつあることを示している。しかし、生成AIをコンシューマー向けプロダクトに統合することで、期待される成果が得られるかどうかはまだ分からない。
(forbes.com 原文)