マイクロソフトによる米ゲーム会社アクティビジョン・ブリザード買収阻止を目指したソニーの試みが失敗したことで、ライアンの退任には若干影が落とされたかもしれない。ソニーは表向きには、アクティビジョンの人気ゲームシリーズ『コール オブ デューティ』がPlayStationから取り上げられる可能性を恐れているよう振る舞っていたが、その裏でライアンは、同シリーズがマイクロソフトのXbox独占となることはないとの自信を見せていたことが明らかになっている。
ライアンはPlayStation責任者としての長年のキャリアの中で、これ以外にも疑問符のつくような発言を何度かしてきたが、それでも販売台数でXboxを凌駕し、傘下の開発スタジオによるヒット作を次から次へと連発するなど、PlayStationの業績を過去最高水準にまで高めた功績については、否定し難い。ただ、ライアン退任後のPlayStationはどうなるのだろうか?
その答えは、まだわからない。現在のPlayStationの方向性が、ライアン自身の意向に基づいたものなのか、それともソニーの上層部の意向なのかは、判断が難しい。ここでいう「方向性」とは主に、売り切り型でシングルプレイ専門の超大作ゲームのみに注力する状態から脱却し、うまくやれば長期にわたり収入源をもたらす「ライブサービス」分野での成功を目指すという方針だ。
この思惑から、PlayStationはライブサービスゲームへの投資を大幅に強化すると発表しており、ライブサービスの新作12本を開発中だとされる。投資比率は、2019会計年度には従来型のシングルプレイタイトルが88%、ライブサービスが12%だったが、2025会計年度には従来型を40%、ライブサービスを60%にする計画だ。とはいっても、従来型タイトルへの投資自体を減らすわけではなく、ライブサービスへの投資を大幅に増やす形になる。