FT紙は関係者3人の話として、OpenAIのサム・アルトマン最高経営責任者(CEO)が、同社初の消費者向けデバイス開発を、アイブのデザイン会社LoveFrom(ラブフロム)に打診したと報じている。両者の間での協議については、米ITニュースサイトのジ・インフォメーションが26日、最初に報道していた。
アイブはアップルに20年間にわたり在籍し、iPhoneやiPodなどの主要ハードウエア開発で重要な役割を果たした人物。2019年に退社し、LoveFromを設立した。
FT紙によると、プロジェクトはまだ初期段階だが、アルトマンとアイブは多くのデザイン案を議論しており、AIとの対話で「より自然で直感的なユーザー体験」を提供する機器の開発を目指している。iPhoneがタッチスクリーンの採用でモバイルインターネット端末に革新をもたらしたことからインスピレーションを得ているという。
2人はさらに、ソフトバンクによる同プロジェクトへの10億ドル以上の出資を孫正義社長と交渉しており、3社の人材と技術を結集したベンチャー企業の設立を検討しているとされる。孫社長は、ソフトバンク傘下の英半導体設計大手Arm(アーム)がこのプロジェクトで中心的な役割を果たすよう働きかけているという。
FT紙は、協議は「真剣」だが、まだ合意には至っていないと説明。正式な発表は数カ月先になる可能性があり、製品の発売までには数年を要する可能性が高いと伝えている。
ソフトバンクは、今月にアームが新規株式上場(IPO)を成功させたことを追い風に、AI事業の強化を模索していると報じられている。FT紙は、孫社長がAI分野に数百億ドル(数兆円)規模の投資を検討していると伝えた。
米紙ウォール・ストリート・ジャーナルが今週報じたところによると、OpenAIは株式売り出しを検討しており、この取引に基づく企業価値の評価額は最大900億ドル(約13兆4000億円)にのぼる可能性がある。
(forbes.com 原文)