欧州

2023.09.29 09:00

ロシアが投入した70年前の野砲、ウクライナがドローンで破壊

旧ソ連製の野砲D-44(Aleksandra Tokarz / Shutterstock.com)

ウクライナ軍が同国の南部と東部でついに反転攻勢を開始してから4カ月近くがたつ。この間、ウクライナ軍は80門以上のロシア軍の榴弾(りゅうだん)砲とロケット弾発射機を破壊した。これに対し、ロシア軍が破壊したウクライナ軍の榴弾砲とロケット弾発射機はわずか24門だ。

ウクライナに侵攻する前、ロシア軍が保有していた大砲は4000門と、ウクライナ軍の2倍以上だった。母数が大きいとはいえ、損失数の差は歴然としている。そしてこの傾向は、ロシア軍にとっては不穏なものだ。

榴弾砲やロケット弾発射機の損失の増大により、ロシア軍は古い大砲にますます頼るようになっている。ウクライナ軍の一人称視点(FVP)ドローンの操縦士がこのほど、80年近く前のロシア軍の野砲を見つけ破壊したのにはそうした背景がある。

ウクライナ軍の有名なドローン操縦士、ロベルト・ブロウディは、爆発物を搭載したFVPドローンから撮影した動画を投稿した。1946年に旧ソ連が使用するようになった「師団砲」のD-44をズームでとらえている。

口径85mmのD-44がウクライナでの戦争に投入されたのはこれが初めてではない。ウクライナ側も、1970年代に製造されたMT-LB装甲けん引車にD-44を搭載し、「MT-LB-44」という新種の対戦車兵器を生み出している。

だが、ロシア軍が古い野砲を展開しているという事実は、同軍が多くの大砲を失いつつあり、そしてその損失を埋めようと躍起になっていることを示している。

旧ソ連の自走砲ウラルマッシュの工場は、1945年から1953年にかけて毎年1000門以上のD-44を製造していた。より威力のあるD-30が1980年代初めに取って代わるまで、D-44はワルシャワ条約機構の加盟国とソ連の同盟国で広く使用された。

射程は約16kmで、俯仰角は榴弾砲より小さく、装甲貫通力もD-30に劣る古いD-44は、ロシアが2022年2月にウクライナに侵攻するまでそれほど大きな価値はなかった。
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翻訳=溝口慈子

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