米国科学アカデミーの機関誌「Proceedings of the National Academy of Sciences」に25日付けで掲載された最新論文では、最新の機械学習技術(アルゴリズムによる問題解決)を用いて、試料が生物起源か非生物起源かを90%の精度で判別する試みについて説明している。
今回の研究を共同で主導した、米カーネギー研究所のロバート・ヘイゼンは「この定型的な分析法は、地球外生命探査に大変革をもたらすとともに、地球最古の生命の起源と化学的性質の両方に関する理解を深める可能性がある」と指摘する。「これにより、無人宇宙船、着陸機、探査車の高性能センサーを使って、地球にサンプルを持ち帰る前に、生命の痕跡を探すことが可能になる」
この技術が、米航空宇宙局(NASA)の火星探査車に搭載される機器の1つとして、火星表層で利用される日が間もなく来るかもしれない。ヘイゼンは「有機体の火星生物圏に由来する分子が、火星上にあるかどうかを突き止めるためのデータを、すでに手に入れている可能性がある」と述べたが、NASAの規約に合うように分析法を調整する作業が必要になると付け加えた。
生命探査への影響
AIは、生物的な性質(植物、動物、細菌)を持つ試料と、非生物的起源(水、土壌、大気)を持つ試料を識別できることを、研究チームは実証した。この最新の分析法は、試料の構成成分を同定し、それらの分子量を測定することで、試料の分子パターン(繰り返し現れる特徴的な構造)内のわずかな差異を検出できる。AIの訓練には、既知の生物および非生物試料134種のデータセットを用いた。