宇宙

2023.09.29 14:30

AI活用で火星の生命存在を「精度90%」で判別可能に

NASAの火星探査車パーシビアランスが2021年9月10日、試料を採取した「ロシェット」岩の前で撮影したセルフィー(自撮り)画像(NASA/JPL-Caltech/MSSS)

これにより、科学者が火星や太古の地球の試料を調査して、それがかつて生物だったかどうかを識別できるようになる日が来るかもしれない。さらにはそれだけでなく、生物由来の化学物質が、非生物的な有機化学物質と深いレベルで異なっていることが明らかになるわけだ。
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研究チームの報告によると、下に挙げた項目に由来する試料を90%の精度で同定できたという。

・ 生物(現代の貝殻、歯、骨、昆虫、葉、コメ、人毛、細粒岩の中に保存されている細胞)
・ 地質学的作用で変化した古代生物の残骸(石炭、石油、琥珀、炭素に富む化石
・ 非生物起源の試料(アミノ酸のような純粋な実験用化学物質など)

「この結果が意味するのは、別の惑星、別の生物圏の生命体を、たとえ地球上で知られている生物とは大きく異なっていても見つけられる可能性があることだ」と、ヘイゼンは述べている。「そして、地球以外のどこかで生命の痕跡が実際に見つかった場合、地球の生命と他の惑星の生命は起源が共通なのか異なるのかを見分けることができる」
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NASAの火星探査車パーシビアランスが、初めての試料採取のための準備で、火星の岩をドリルで掘削した穴。2021年8月6日撮影(NASA/JPL-Caltech)

NASAの火星探査車パーシビアランスが、初めての試料採取のための準備で、火星の岩をドリルで掘削した穴。2021年8月6日撮影(NASA/JPL-Caltech)

宇宙生物学者への贈り物

豪州の西オーストラリア州で発見された35億年前の黒い堆積岩の起源に関する新たな手がかりが、AIを活用したこの最新技術によって間もなく得られる可能性があると期待されている。この堆積岩に地球最古級の微生物の化石が含まれているかどうかについては、まだ議論が分かれている。この技術は生物学、古生物学、考古学でも利用されるかもしれない。

米ハーバード大学有機体進化生物学部のフィッシャー研究教授(博物学)および名誉研究教授(地球惑星科学)のアンドリュー・ノールは「学ぶべきことはまだたくさんあるが、次世代版のこのシステムが火星に送り込まれ、生命の可能性を火星上で評価する一方、地球向けの姉妹システムが地球の生命の古代の遺物に光を当てる日が来るだろう」と述べている。ノールはこの技術を「宇宙生物学者への贈り物」と呼んでいる。

forbes.com 原文

翻訳=河原稔

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