海外セレブやKPOPアイドルがデジタルカメラで撮った写真や、デジタルカメラを持つ自分をSNSにアップしている。クリアなスマートフォンのカメラでは表現できない、ノイズがある、少し色褪せたような哀愁感漂う写真が特徴的だ。
デジタルカメラがZ世代を魅了するのは、どことなく懐かしさを感じるからではないかと思う。数年前、「写ルンです」などフィルムカメラが大流行した時期は、Z世代は触れたことのない時代の「フィルムカメラ」という産物への関心や、興味が多かったように思う。撮影や印刷において手間がかかるフィルムカメラは新鮮で、逆にその手間が興味深いものだった。
一方で、デジタルカメラは自分が子どもの時に触れたもの、もしくは自分達の両親が若者だった時に流行したものだ。片手におさまるカメラの小型なビジュアルや、写真からは親しみが湧く。
デジカメ流行の歴史
デジタルカメラの全盛期は2000年代。2002年にはデジタルカメラとフィルムカメラの出荷台数が逆転し、デジタルカメラは黄金期を迎える。2008〜2010年に販売台数のピークになった。しかし、2008年に日本で「iPhone3G」が発売されてから、衰退の一途を辿ることとなる。手ブレ補正機能が付き、画素数は1000万超え、デジタルカメラに劣らぬ画期的な機能がついた。
かつて携帯のカメラというのは、補助的な存在に過ぎず、デジタルカメラ=写真を撮るもの、携帯=連絡手段と分業されていた。そんな中、iPhoneが連絡ツールである携帯に、高機能なカメラをつけた。この頃からデジタルカメラ、及びカメラ産業は出荷台数等が大きく減少した。
古きが良き。Z世代におけるデジカメとは
昨今取り上げられるのが「Y2K」ファッションやカルチャー。「Y2K」とは「Year 2000」のことで、「K」は「km(キロメートル)」や「kg(キログラム)」にあるような「1000」を表している。
アメリカのブリトニー・スピアーズやパリス・ヒルトン、日本のギャル文化などを彷彿とさせる、大胆で、派手なひと昔ブームだったものが、現代版にリメイクされ再流行している。デジタルカメラの再燃も「Y2K」カルチャーの1つであると考える。
「Y2K」のカルチャーにあるような、かつてのガラケーが折りたたみ式携帯としてアップデートすることや、写ルンですなどのフィルムカメラ、デジタルカメラなど、過去に流行った文化が再燃すること。ハイテクの環境に身を置きながら、オールドテックに新たな価値を見出すことはZ世代特有なのかもしれない。
※参考資料
https://www.nytimes.com/2023/01/07/technology/digital-cameras-olympus-canon.html?smtyp=cur&smid=tw-nytimes
https://front-row.jp/_ct/17614765