東京都新宿区四谷で喫茶店を運営する珈琲日記は、1杯500円以上のコーヒーを週に1回以上飲んでいるコーヒー党108人を対象にコーヒーの2050年問題に関する意識調査を行った。すると、2050年問題を詳しく知っていると答えた人は39.8パーセント、聞いたことがある程度という人が35.2パーセントで、そこそこの認知度があった。
2050年問題とは、全生産量の6割ほどを占め、豊かな香りなどで日本人に大人気のアラビカ種のコーヒーを栽培できる地域が、2050年には気候変動によって半減し、コーヒー生産量が大幅に減るという問題だ。日本のコーヒー消費量は世界第3位。そのコーヒー豆輸入量の7割がアラビカ種だ。
アンケートでは、2050年問題に危機意識があるかを尋ねると、「非常に感じる」と「やや感じる」が合わせて8割となった。理由は、価格上昇、品質低下、日常的に飲めなくなるといった嗜好的な理由が大半だったが、生産者の貧困問題を心配する意見も3割を超えていた(複数回答)。
コーヒーには、過酷で不当な労働環境という社会問題がついてまわる。近年、世界のコーヒー需要が爆発的に増加し、そのため貧しいコーヒー農家では子どもを学校に行かせず農作業をさせるといった話も聞く。そうした事情をよく知るコーヒー愛好家は、せめてフェアトレードの豆を買うなどの「罪滅ぼし」をしているわけだが、気候変動はそんな努力も踏み潰してしまう。
そこで、調査に応じたコーヒー好きに2050年問題に向けて環境に配慮した取り組みを実施するかと尋ねると、「非常にそう思う」と「ややそう思う」が合わせてほぼ8割となった。具体的には、プラスチックゴミの削減、省エネ、コーヒーのアップサイクル商品を利用する、2050年問題に取り組む企業の製品を選ぶといった意見が聞かれた。
コーヒーに限らず、電気代の高騰など、地球温暖化の弊害がごく身近に感じられるようになった。しかし、これは逆に脱炭素化の必要性を実感し、本気で対策に取り組もうと思わせるいい機会とも考えられる。おいしいコーヒーが飲みたいという個人的な理由であっても、温暖化対策に積極的になる人が増えるのなら、希望が持てる。
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