ただし、その責任は『FF16』にあるわけではない。より大きな原因は『FORSPOKEN』や『BABYLON'S FALL』といった失敗作だ。特に『BABYLON'S FALL』は、批評サイト「メタクリティック」で41点という「死刑宣告」同然の低評価を受けた(そして発売から1年後、サービス終了にともないその命を絶たれた)。
米ネットメディアのアクシオスは、こうした最近の問題をうまくまとめた記事で、スクウェア・エニックスがソニーとの長年の関係に頼りすぎているという重要な点を指摘している。『FF16』はPlayStation 5専用ソフトとして、『FORSPOKEN』はPSとPCのみに向けて発売された。サードパーティーの企業が、ゲーム機メーカー1社とこれほどの規模の契約を結び続けるのはめずらしい。
しかし、スクウェア・エニックスはその教訓を学んだようだ。最近では、Xbox部門責任者のフィル・スペンサーと手を取り合い、自社の大作ゲームのXbox向け発売や、マイクロソフトとの提携を約束している。
Enjoyed being onstage with Yoshi-P and Kiryu-san to announce Final Fantasy XIV coming to Xbox. We’re thrilled that the Xbox community will join the Warriors of Light and we look forward to partnering closely with Square Enix on future games. pic.twitter.com/zq0ETkDFq1
— Phil Spencer (@XboxP3) July 28, 2023
そのため、スクウェア・エニックスが次の『FF17』で、ソニーの独占を避け、Xbox版も(願わくはPC版も)同時に発売することは、ほぼ間違いないだろう。Xbox版で期待できる売り上げがPS版より少ないのは明らかだが、ソニーが独占維持料としてスクウェア・エニックスに巨額を支払わない限り、PS独占タイトルとする価値はない。
品質管理の問題もある。『FORSPOKEN』はスクエア・エニックスとって大型の新規IPになるはずだったが、蓋を開けてみれば(『Redfall』よりはマシではあるものの)失敗に終わった。そして『BABYLON'S FALL』はというと……決して日の目を見るべきではなかったとだけ言っておこう。
この傾向は、以前からあった。『Marvel's Avengers』をルーター系(敵を倒して得られるランダムな装備品でキャラクターを強化していくもの)のゲームにするという悪いアイデアがその一例だ。また、『トゥームレイダー』や『Marvel’s Guardians of the Galaxy』といった手堅いゲームはメガヒットを飛ばす必要があると考え、そうならなかったために、開発したスタジオをエンブレーサー・グループに格安で売り飛ばした件もある。