研究では「Zoom」のビデオ会議の静止画を167人に見てもらい、その反応を分析した。映っている人について、表情や性別、背景などから一見してどの程度信頼できそうか、また有能そうかを尋ねた。
観葉植物や本棚を背景にしている人はそうでない人よりも信頼度が高く、第一印象が良かった。また、無表情の人や男性よりも笑顔の人や女性のほうが信頼でき、有能だと見られていた。
最も信頼できないと思われたのは、奇抜な画像や居住スペースをそのまま背景に使った人だった。ぼかしのない居住スペースや飾りのない壁よりは、ぼかしを入れた居住スペースのほうが印象が良かった。
第一印象は服装よりも背景の選択が重要であることや、自宅での場所が仕事部屋でなく寝室だったり背景に写真やポスターなどが映っていたりすると、職業人としてはふさわしくないと受け止められがちなことも確認された。
研究チームによると対面では身ぶりが第一印象に大きな役割を果たすが、ビデオ会議では肩から上だけを見せるのが好まれることも明らかになった。職場環境では「笑顔が有能さを予想させる」こともわかった。
背景画像は「新たなスーツ」
研究チームは「バーチャルな背景はプロフェッショナルな外見の延長と見なされ得る。個人的なスペースは人柄について推測させるからだ」と指摘。バーチャルな背景は「新たなビジネススーツ」と見なされているとも紹介している。ダラム大心理学部の研究者3人からなるチームはとくにビジネスシーンにおいて第一印象が対面でのやりとりからバーチャルなものへどう変わったかを分析する一環で、今回の研究を行った。信頼性や好感度、能力、積極性に関する判断はすべて第一印象でなされ、身ぶりや服装、セッティングは以前ほど重要でなくなっているという。
かつてはフォーマルな服装をした応募者のほうが採用される可能性は高かったが、この研究によるとそうした評価項目はいまでは、ビデオ会議の際にきちんとしているように見える、職業人としてふさわしい背景を選んでいるといった点に取って代わられている。研究チームは「(ビデオ会議の)背景は明らかに人となりの判断に利用されている」と述べている。
2024年にはビジネス会議の75%がビデオ形式になると予想されている。Zoomの利用者は2019年末の1000万人から2020年4月には3億人と、新型コロナウイルス禍をきかっけに短期間で爆発的に増えた。マイクロソフトの「Teams」の利用者も同じ期間に2000万人から7500万人へと急増し、2022年時点で2億7000万人に達している。
(forbes.com 原文)