そんな中、バイデン大統領が間もなく発表すると見られる人工知能(AI)に関する大統領令が、ビットコインや暗号資産の大きな打撃となることが懸念されている。
暗号資産に特化した米投資会社Paradigm(パラダイム)の責任者のアレクサンダー・グリーブは、9月25日のX(旧ツイッター)の投稿で「間もなく公開されるAIに関する大統領令が、暗号資産の脅威となる可能性がある」と、ニュスサイトSemaforの記事を引用して述べている。
Semaforのレポートは、マイクロソフトやグーグル、アマゾンなどの企業が「顧客が一定の基準を上回るコンピューティングリソースを購入した場合に、その開示を強制されることになる」と主張している。
グリーブは、コンピューティングパワーを「国家資源」と呼び、ビットコインのマイニング(採掘)やビデオゲームの開発、ChatGPTのような「AIモデルの実行」はすべて大量のコンピューティングを必要とすると述べている。
ビットコインの採掘は、高出力のコンピュータを稼働させるため、いくつかの小国よりも多くの電力を消費すると考えられている。中国が2021年にビットコインの採掘を禁止して以来、米国は他のどの国よりも多くのビットコインの採掘者が拠点を置くようになった。
グリーブは、ホワイトハウスがテクノロジー人材やエネルギーを「希少な国家資源」と考えていると述べている。そのため、政府は、ビットコインの採掘が一般家庭の電力を奪い、優れた人材を「現実のアプリケーション」から遠ざけることを警戒していると、彼は主張している。
「コンピューティングリソースに関する報告が義務づけられた場合、暗号資産業界にサービスを提供するクラウドサービスプロバイダーに対し、政治的な圧力がかかることが予想される」とグリーブは述べ、この動きが新しい形の「オペレーション・チョーク・ポイント」になると指摘した。
ここ最近のSEC(米証券取引委員会)による暗号資産関連の企業に対する取り締まりは、一部から「オペレーション・チョーク・ポイント2.0」と呼ばれている。
この用語は、米国の規制当局が行う「高リスク」企業への取り締まりを意味するもので、2013年のオペレーション・チョーク・ポイントでは、銃器ディーラーなどの詐欺やマネーロンダリングのリスクが高い企業に対する米司法省の取り組みをこう呼んでいた。
(forbes.com 原文)