2023年6月末、米カリフォルニア州ナパ・バレーで、約2年をにおよぶ“グローバル・テスト・プログラム”を終了したSPECTREのメディア試乗会が開催された。
テスト・プログラムでSPECTREは、400年以上の使用に相当する250万kmを走行し、世界各地の巨大都市、高地の山道のほか、北極圏の氷雪から砂漠など過酷な条件でのテストをクリア。待機中のヘリコプターの横に停止した車内で通話ができるか、イブニングドレスでの乗り降りはしやすいか、といった“オーナーのライフスタイル”を想定した数多くの検証も行われたという。
なぜナパ・バレーだったのか
ロールス・ロイスは、試乗会の場所選びに2つの軸を持っている。顧客のライフスタイルに沿っていることと、ストーリーテリングであることだ。その意味で、トルステン・ミュラー・エトヴェシュCEOが「歴史的な出来事」と呼ぶ舞台にナパが選ばれたのには複数の理由がある。まず、米国がロールス・ロイスにとって最大の市場であること。そして、カリフォルニアが世界でもいち早く電気自動車を導入した地域であること。加えて重要なのが、ナパ・バレーが「既成概念を打ち砕き、歴史を変えた場所」であるということだ。
グローバル・コミュニケーション・ディレクターのエマ・ベグリーはプレス発表の場で、1976年当時まだ無名だったナパのワインが、ブラインドテイスティングでフランスワインに勝った“パリスの審判”を挙げ、「ナパのパイオニアたちが、フランスの銘醸地でなくても偉大なワインを造れると証明したように、SPACTREは、最高のV12エンジンがなくても、ロールス・ロイスがロールス・ロイスであることを証明します」と語った。