これは米国のこれまでの供与方法ともつじつまが合う。ロシアがウクライナに全面侵攻してから1年8カ月の間、米国はウクライナに装甲車両を提供する場合、まず少数の供与を約束したうえで、その車両について補給や訓練に必要なインフラがすべて整い、ウクライナ軍でしっかり運用できるようになったあとに、多数の追加供与を表明するという手順を踏むことが多かった。
たとえば、M2ブラッドレー歩兵戦闘車の供与数は当初50両だったが、数カ月後には200両に増えた。90両のストライカー装甲車もすぐに倍増し、数基だった高機動ロケット砲システム(HIMARS)も40基近くに膨れ上がった。
実のところ、米国には古いM1の在庫が数千両ある。ウクライナへの大量の引き渡しを妨げている唯一の障害は、これらの戦車の装甲だ。米国は同盟国などにM1を譲渡したり売却したりする場合、劣化ウランを用いた装甲をタングステン合金の装甲に取り換える方針にしている。
この作業を担う工場は米国に1カ所しかない。米政府が所有し、ジェネラル・ダイナミクスが運営するオハイオ州ライマの工場である。この工場では「衣替え」したM1を週にわずか3両しかつくれていない。オーストラリアやポーランド、台湾などもM1を計数百両発注しており、受注残はかなり積み上がっている。
(forbes.com 原文)